~スーツで歩いた巡礼路5 ~ カメとウサギの巡礼者
強烈な太陽光線がジリジリと肌を焼く。
おしゃべりな現地ガイドに尋ねると、周辺は標高2000M級の山々が連なっているという。
もともと周辺の大地は標高900Mほどの高原だったので、それほどの標高を実感できないが、初夏の今でも遠くの山頂には雪が残っているのが信じられない。気温32℃だというのに。
ゴール地点の鉄の十字架までは、なだらかな斜面をゆっくりと登ってゆく。
巡礼の旅の大原則はとにかく、「自分自身のペースを守ること。」
巡礼者の中には自転車こぎのツワモノが結構いて、信じられないが山の斜面をグイグイ登っているのだ。
当然のことながら早速追い抜かれる。 さらに後ろからやってきた歩きの巡礼者たちにもどんどん追い抜かれてゆく・・・。
我々は汗ダラダラ、必死の形相となっているのだが、彼らは決まって爽やかな笑顔で挨拶を交わし、
軽い足取りで去ってゆく。
「自分のペース、自分のペース」と言い聞かせるも、抜かれるとやっぱり悔しい。
彼らは一歩の間隔、コンパスが長いから?しかしペースも速い。
彼らは我々よりも長旅で疲れているはずなのに・・・。
早々と第一回目休憩の時間をとった。
方々のリュックサックからは様々なおつまみがどんどんでてくる。
私も負けじとお菓子を提供する。
ふと小学校の遠足を思い出した。
ハイキングの楽しみはこれだ!これなのだ。
各方面からいろいろなおつまみを貰う小さな喜び。
すぐに両手が一杯になる。お弁当に各家庭色がでているように、はるばる日本から運ばれてきたおつまみにも各家庭の想いが滲み出ているような気がする。
休憩をしながら5キロほど登ると途中の宿場村フォンセバドンに到着。
またもやカフェで休憩。我々が休憩ばかりしている間に、ひと通りの巡礼者に追い抜かれたようだ。
もはや我々の後ろには誰もいない。
抜かれる心配もないので、のんびりと歩き始める。
標高が次第に上がり、あたり一面野の花だらけとなる。
ここだけひと足遅い春を迎えている。
ピンク色のヒース(エリカ)や黄色のエニシダ、名も無い(というかスペイン人が知らないだけ)白い野花など、
ひたすら登りだけだったら、へこたれていたであろうところを花に助けられた。
一面の色とりどりのワイルドフラワーに心が和み、疲れていた心身ともに花に癒される。
ついにゴール地点の鉄の十字架に到達。
登り遂げたという達成感で一杯だ。吹き抜ける風が気持ちいい。
皆で輪なって手を繋ぎ、サンチャゴまでの無事をお祈りした。
巡礼者たちが積み上げていった石積みに自分達の持ってきた石をそっと重ね、これにて終了。
今日の進行状況により、我々の巡礼シンボルマークは「ホタテ貝とウサギ」に決定しました。
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