教皇の理想都市ピエンツァ(イタリア)
周囲の町には二千年以上の歴史を持つ町も少なくありませんが、ピエンツァは中世に誕生した町です。15世紀初頭、ちょうどイタリアでルネサンスに機運が高まり始めた頃にピエンツァ出身のピウス二世が教皇の位に着きました。彼は流行のルネサンスを取り入れ、小さな村だった故郷を理想的なルネサンス都市に改造して故郷に錦を飾ったのです。その象徴が町の中心にあるピウス二世広場です。さして広くもない広場ですが、初期ルネサンスの傑作ドゥオーモを中心に、ピッコローミニ宮や市庁舎など15世紀の建築に囲まれたこの小さな広場は、非常に調和の取れた佇まいを呈しています。そう、ルネサンスの理想が息づいているのです。
ピウス二世広場以外にもルネサンスの理想が込められた建築が町の中を埋め尽くしてます。その中を歩いていると、特有のにおいが立ち込めている事に気付くでしょう。ちょっと酸っぱいようなこの匂いは、町の至るところにあるチーズ屋から漂っています。そう、ピエンツァはチーズの特産地なのです。そのチーズとはペコリーノチーズと呼ばれる普通のチーズよりちょっとしょっぱいチーズです。原料は牛ではなく、羊の乳です。ちなみにサルディーニャ島やローマがあるラツィオ州もこのチーズの特産地です。あまり小さい単位では売っていませんのでちょっとお土産には?ですが、機会があれば試食してみて下さい。
また、ピエンツァに来たら見逃せないのは、その周囲の風景でもあります。ピウス二世広場から大聖堂の左側を抜けていくと、はっとするようなトスカーナの典型的な田園風景が広がっています。これがオルチャ渓谷です。ところどころに生える糸杉、緑の畑が連なる丘陵、そしてその中にぽつんと佇む石造りの農家。この風景もまたピエンツァのハイライトです。(福永)
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