アレッツォ(イタリア)
イタリアトスカーナ地方の東部、フィレンツェから南東に約80kmの地点にアレッツォという古都があります。フィレンツェやシエナあたりと比べると知名度は低いですが、アレッツォはトスカーナの中でも最も古い歴史を持つ町の一つです。その歴史は古代ローマ以前にイタリア半島中部に文明をもたらしたエトルリア人の時代(前5~4世紀頃)に遡ります。エトルリアの中心を形成した12都市の一つであり、ローマ時代に入ってからもカッシア街道の要衝という事もあり、イタリア半島でも五指に数えられる都市であったと言われています。
中世に入ると、イタリアのその他の都市同様にコムーネ(都市国家)が形成され、ルネサンス期には、ピエロ・デラ・フランチェスカ、ジョルジョ・ヴァザーリらが活躍しました。
近代に入って以後のアレッツォは町としては衰退していったと言えますが、そのおかげで中世の町並みはよく保存されています。それでは早速アレッツォのみどころをピックアップしてみましょう。
まずは町の中心グランデ広場です。この広場は1998年のアカデミー賞にも輝いたイタリア映画「ライフ・イズ・ビューティフル」のロケ地でもある趣きある広場です。近代的な建物はなく、美しく調和が取れたイタリアでも有数の広場です。広場の一角には柱が並ぶ柱廊が佇んでいますが、これはこの町の出身であるジョルジョ・ヴァザーリがデザインしたものです。「列伝」のような本来の芸術家家業よりも評論家、美術史家として名を馳せるジョルジョ・ヴァザーリですが、グランデ広場に面したこの柱廊はアレッツォの町にしっくり来ています。
グランデ広場と並ぶアレッツォのもう一つのみどころは、聖フランチェスコ教会です。この教会には、近郊のサンセポルクロという町で生まれ、アレッツォの一帯で活躍した初期ルネサンスの巨匠ピエロ・デラ・フランチェスカの傑作があります。
教会内のバッチ礼拝堂を覆うこの傑作は「聖十字架伝説」と呼ばれる聖十字架にまつわる伝説を描いた連作であり、初期ルネサンスを代表する作品です。数学者でもあったピエロ・デラ・フランチェスカは遠近法を大成させた功労者の一人であり、後に続くルネサンスの巨匠達に多大な影響を与えました。ピエロ・デラ・フランチェスカに囲まれる至福の空間をじっくりお楽しみ下さい。ちなみに右上の作品の背後(左側)には、アレッツォの町並みが描かれています。
歴史古きアレッツォはこの他にも色々みどころがありますが、是非自分の足で歩きながらアレッツォの息遣いを感じてみて下さい。(福永)
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