パエストゥム遺跡(イタリア)
その後イタリア半島でローマが勃興すると恭順を誓い、特権も認められて町は益々発展しました。5kmにも及ぶ城壁に囲まれ、ギリシャ時代の神殿を残したままローマ化が進んだこの都市には、多くの古代人達が行き交った事でしょう。ローマの没落後は長らく忘れ去られてしまいましたが、19世紀に入ってポンペイとエルコラーノが再発見されると、次いでこの都市も発掘され、世に出る事になりました。
現在のパエストゥム遺跡は、世界遺産にも登録され、ギリシャ時代に建造された3つの神殿も健在です。保存状態もよく、当時の威光を偲ばせてくれます。神殿がどの神を祀っていたのかは諸説ありますが、周辺の発掘物を鑑定した結果、現在ではヘラとアテネの神殿であっただろうとされています。綺麗な芝生の上に立つ神殿の姿は神々しくもあり、かつて多くの人が祈りを捧げたであろう事を思い起こさせます。
そして神殿群の眺めもさることながら、パエストゥム遺跡の一番の目玉は、実は付属の博物館にあるのかもしれません。パエストゥム博物館には遺跡とその周辺から出土した展示が並んでいますが、中でも注目は「飛び込む男」と呼ばれるフレスコです。実は古代ギリシャのフレスコという物は、ギリシャ本土を始め、ほとんどどこにも残されておらず、世界でも最も古いギリシャ人のフレスコがこの博物館に展示されているのです。このフレスコは元々棺に描かれていたもので、遺跡の南にあるネクロポリス(墓地)から発見されました。主題の意味ははっきり分かっておりませんが、古代ギリシャ人達の芸術に触れられる貴重な機会でしょう。博物館には他にもいくつかフレスコが残されています。(福永)
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(2010年5月現在、パエストゥムを訪れるツアーは、「南イタリアを極める 10日間」のみです。)
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