闘牛(スペイン)
闘牛の起源には古代ローマ、アラブ人、貴族文化、庶民の祭りなどいくつかの説がありますが、19世紀頃にはスペインの娯楽として定着し始めたという事は確かでしょう。19世紀後半~20世紀にかけて現存する大都市の闘牛場が整備され、国技にまで上り詰めたのです。
闘牛が開催されるのは春から秋の時期で、3月のバレンシアの火祭りを機に開幕し、10月のサラゴサのピラール祭で幕を閉じます。シーズン中はマドリッドやバルセロナのような大都市では主に日曜日に開催され、地方の闘牛場ではお祭りのような特別なイベントがある時だけ開催されます。ですからそう簡単に見られるものではありません。
闘牛の開始時刻は日没の2時間前で、3人の闘牛士が各2回登場するのが慣わしです。ちなみに闘牛士と言えばマタドールですが、マタドールは闘牛士の中でも1割に満たない一級闘牛士の事であり、闘牛士=マタドールではありません。普通の闘牛士はトレロと呼ばれています。
闘牛の進行を簡単にまとめると、まず始めに馬に乗ったピカドール(槍手)が登場し、牛に馬上から傷を負わせます。その後銛を持った人達が登場し、牛にさらなる傷を負わせます。残酷な行為でもありますが、勢いを残したままうまく傷を負わせられるかどうかが腕の見せ所と言われています。
そして最後に闘牛士が登場し、華麗に牛の攻撃を交わしつつ、最後に自らの剣で牛に止めをさします。ここでは一撃で牛がもだえる事無く、いかに美しく止めをさせるかどうかが闘牛士の腕の見せ所と言われています。
このように華やかなスペインのイメージもある闘牛は、残酷な一面も持っており、動物愛護団体が反対する理由も分かります。しかし一方で長い伝統を持つ国技でもあり、闘牛場で繰り広げられる闘牛士と闘牛の闘いは歴史でもあります。その功罪はともかく、スペイン文化に触れられる機会である事は間違いないでしょう。最近はサッカーに押され、闘牛場の観客数も減少傾向にありますが、そこで熱狂するスペイン人達と一緒に闘牛を見ていると、スペインについて知り得るものも少なくないでしょう。(福永)
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※ツアーに闘牛は含まれていません。曜日がうまく合えば、ご覧頂ける可能性はあります。
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