バガン仏教遺跡特集⑤ ~ 未完成のピラミッド「ダマヤンヂー寺院」
ミンガラバー。今日は2000基以上あるパゴダの中で、寺院のサイズが一番大きく、また独特の姿をした「ダマヤンヂー寺院」をご紹介します。
ダマヤンヂー寺院は外から見ると、落ち着いた煉瓦の色とどっしりした形がとても似合い、魅力的です。その上、13世紀頃に造られた寺院が今まで殆ど手を付けられず、当時のままの形であるため、その「遺跡らしさ」が外国人の観光客に人気があります。バガンのどこから見てもよく似た形の仏塔が建ち並ぶ中で、ピラミッドのような形で、ひときわ綺麗で立派に見えます。
夕方になると、写真撮影が目的で集まってくるお客様たちで賑わいますが、それ以外の時間にはあまり人影が見えません。寺院の中に入ると、飾られている壁画や仏像、レリーフなどの殆どは修復されずに、古いのまま残っていて、煉瓦の湿っぽい匂いがします。又、通路を歩いていると天井からコウモリの音が聞こえてくるような感じもします。前にご紹介した「シュエズィーゴンパゴダ」や「アーナンダ寺院」は常に綺麗にされ、皆に愛されている一方で、「ダマヤンヂー寺院」はその逆です。修復が大好きなミャンマーの仏教徒たちは、この寺院だけには修復をしようと思いませんでした。それは一体なぜでしょう。
実は、この寺院を建てた「ナラトゥ王」は父と兄を暗殺し、王 座を奪い取って、みずからの罪を償うためにこの寺院を造ったのです。彼は11世紀頃の「アーナンダ寺院」の造り方が気に入ったらしく、内部は「アーナンダ寺院」を真似て造ったと言われています。東西南北に4つの入口がありますが、祀られている仏像は2ヵ所しかありません(内側の通路に入れるのもその2ヵ所だけです)。それ以外は煉瓦で詰め込んであります。その中に何を詰め込んで造ったかが現在まで不明のままです(王様が大勢の国民を中に閉じ込めて殺したという説もあります)。彼は今までにない大規模でユニークな寺院を造ろうと考えたのですが、因果はめぐるというか、建設中に王様自身が暗殺されてしまいました。その為、この寺院は未完成のままの姿で今日に至っています。
私はお客様をこの寺院にご案内する度に、ナラトゥ王のことを思い浮かべてしまい、悲しくなりました。大昔のこととは言え、父と兄を暗殺した王が、その後いくら大きな寺院を造り、功徳を積んだとしてもやはり罪は償えないものなのかもしれません。
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