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2009年10月 9日 (金)

イヴの誘惑に秘められた魅力(オータン)その3

フランス、オータン、イヴ、ロラン美術館蔵 「イヴの誘惑」は美しい。

形の良い口元に右手を沿え、囁きかける誘惑の声音は如何様か。
豊満な胸に流れ落ちる、少し濡れたような長い髪。
柔らかな太ももとたおやかに折り曲げた膝、優美な線を描く脛の先にはきっとほっそりとした足首があったに違いない(残念ながら足首から先は無い)。左手でそっとつかんだ果実の枝には美しい蛇が絡まり・・・。

でもやはり、私にとっては「心を鷲摑み!」とまではいかない。
ちょっとずん胴なんじゃないの~?よく見たら二の腕も太めだし・・・と嫉妬深い視線で辛口の評価もしてしまうのは、私が女であるからか。

噂によると、この「イヴの誘惑」には対になって「誘惑されるアダム」が存在するという。

未発見のアダムの方は、一体どんな顔をしているの?
女にとって誘惑せずにはおれない美男なのだろうか。
知恵の実を食べたことを神から糾弾されたとき「食べたのはイヴだけ」と思わず言ってしまう、弱くてずるい男だけれど、女は駄目な男ほど愛しく魅了されてしまうもの・・・。
嗚呼、気になる、まだ見ぬアダム。

なにはともあれ、100の言葉を以ってしても理解難しい教えをたった一つの彫刻で心に刻み付けるとは、ロマネスク彫刻恐るべし。

知ってか知らずか、己の中の原罪の意識と感応した「イヴの誘惑」に動揺する夫を見ながら、改めてロマネスクの奥深さに感じ入ったのでした。

(宮澤)

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