イヴの誘惑に秘められた魅力(オータン)その2
「イヴの誘惑」のテーマは、なんといっても誘惑だろう。
だから、彫刻を見た人々(主に男性)が「誘惑」される彫刻でなければ意味が無い。
そしてただ誘惑されるだけではなく、その誘惑にはどこか背徳の匂いが無ければならない。そちらに踏み込んではいけない・・・でも踏み込まずにはいられない・・・といったような。
「その1」で紹介した夫の発言には「イヴの誘惑から感じるべきこと」が全て表れているということに気づき、改めて驚く。
「うわー、なにこれ」=一目見たときに(男性の)気持ちをぐっとつかむ妖艶な魅力
「超怖いね!」=アダムに囁きかけるイヴの表情に秘められた、闇へと引き込む引力に感応?
「なんかゾクゾクするよ!」=どういうわけかわしづかみにされてしまう男心
「思わず見ちゃうよね~」=その誘いに乗ってはいけないと本能でわかりつつも、甘い罪の深遠を覗き込まずにいられない人間の心理
きっとその当時の人々(何度も言うが主に男性)もこの「イヴの誘惑」を見たとき、なんだかわからないけどドキドキしたに違いない。そしてそのドキドキは、本当はいけないことなんじゃないか、後で悪いことになるんじゃないか、という本能的な恐れを感じさせる罪深いドキドキなのだ。そしてその、未だかつてない感情を呼び起こす謎の彫刻に、当時の人々は神の力を感じたのかも知れない。
一文字の説明も無く、人間の深層心理に潜む“原罪”の意識を揺さぶるなんて、すごいぞ、イヴ!
(宮澤)
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