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2009年12月

2009年12月30日 (水)

2010年のパンフレットが完成しました!

皆様大変、大変お待たせいたしました。
2010年春・夏・秋「スペイン・サンティアゴ巡礼とヨーロッパのロマネスク芸術」のパンフレットが納品されました。

既にお取り寄せの手続きを頂いた方には、本日より順次発送してまいります。
年末年始をはさみますため、通常より発送に時間がかかる見込みですが、何卒宜しくお願い致します。

2009年も残り僅かとなりました。
本年中は格別のご高配を賜り誠にありがとうございました。
来る2010年は聖地サンチャゴの大祭の年です。
本年中のご愛顧に心より御礼を申し上げますとともに、
来年も、変わらぬご指導とご鞭撻を賜りますよう宜しくお願い申し上げます。


なお、本年の営業は12月30日18:30まででございます。
新年は1月4日(月)10:00から、平常どおり営業いたしております。

何卒宜しくお願い申し上げます。

(担当一同)

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2009年12月28日 (月)

ここだからいえるホントにあったフォントの話(その3) ノース・グリムストン/セント・ニコラス聖堂(英国)

英国、ノース・ヨークシャー州ヨークから北東に半時ほどの場所にノースグリムストンという小さな村があります。Orth_grimston_st_nicholas ここには12世紀に造られたノルマン・ロマネスクの教会『セント・ニコラス聖堂』があります。緑の木々が茂る村にひっそりと佇んでいる小さな教会なので、初めて訪れる人はなかなか見つけられないでしょう。私も見つけるのに苦労しました。あまりにも木が茂っていて、前を何度か通り過ぎてもその奥にある教会が全然見えなかったので。North_grimston_st_nicholas_entrance

こちらの教会の『フォント』は、教会の歴史よりも古い、12世紀以前のもの。ノースグリムストンという名前から、もともとはノルマン以前、アングロ・サクソン族の農地もしくは開拓部落であったと思われる場所なので、この『フォント』はアングロ・サクソン様式、もしくは初期ノルマン様式であるといわれています。英国版プレロマネスクみたいなものでしょうか。

教会の入口である南側のポーチから中に入ると、扉を開けてすぐの左手に、突然置かれている大きな『フォント』。置かれている、というか既に床と一体化しているといった感じです。写真を見て頂ければわかると思いますが、床の部分の石と台座がどう見てもくっついており、さらに台座と『洗礼盤』部分もくっついているようなので持ち上げて運ぶことはもはや不可能。赤いカーペットも洗礼盤の台座に合わせてラウンドカット。礼拝用の椅子はもちろんあとから造られたものなので、洗礼盤をよけるような不自然な配置に。半端ない存在感です。Orth_grimston_st_nicholas_font

セント・ニコラス聖堂の『フォント』はその素朴な彫刻が特徴です。全体的に彫が浅く、ちょっと稚拙で技術的に未熟な感じがし、なんともいえないほのぼの感をかもし出しています。彫られているのは洗礼盤には珍しい「最後の晩餐」のシーンですが、弟子のポーズがほぼ全員一緒という大胆なデザイン。レオナルド・ダ・ヴィンチの最後の晩餐とこの最後の晩餐が同じシーンだなんて信じられないくらい、弟子それぞれの個性がなく、一体どれがだれなのか、もはや判別は不可能。髪型も表情も見事に同じ。キリストだけは一際大きく、十字の形の光輪を背負っているのでわかるけれども(上半身の堂々たる大きさに対し、クッションの上にちょこんと置かれたキリストの足があまりにも小さくて可愛いのは必見。)あとは、聖人画などで比較的識別がしやすいペテロですらどれなのか。
でも、実はよーく見てみると、あるんです、微妙な違いが。弟子達の左手は胸に当てられており、右手はテーブルに。その右手をじっくり観察すると・・・持っている食器が違う。ナイフのようなものを持っている人もいれば、フォークの人もいる様子。カップに見えるものも・・・。表情も、ちょっとすまし顔で食べている弟子から思い切りほおばっている人まで、微妙な変化が。そして1人だけ実は髪型が若干違う人物が・・・。これはマタイによる福音書によるとみんなよりちょっとお金持ちだったという、ヨハネなのではないかといわれています。お金持ちだからお洒落しているのでしょうか。

そして最後の晩餐といえば気になるのはあの人です。

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2009年12月25日 (金)

ご生誕:ラ・シャリテ・シュル・ロワール

皆様、素敵なクリスマスをお過ごしですか?
日本では、25日になれば商店の飾りつけはクリスマスからあっという間にお正月に模様替えをしてしまいますが、ヨーロッパまでは1月の6日頃までがクリスマス。
日本の冬休みにあたる期間中はイルミネーションなどもお楽しみいただけます。

さらに、教会に行けばイエス・キリストの生涯を描いた絵画や彫刻がたくさんありますかフランス、ラ・シャリテ・シュル・ロワールら、 キリスト誕生の場面をいつでも見つけることも出来ます。

もちろん、ロマネスク時代のものも各地に残されています。
柱頭の場合は特にそうなのですが、ご生誕・羊飼いへのお告げ・三賢者訪問が1場面で表されていることも多いです。

右の写真はご生誕と羊飼いへのお告げを描いたものです。
フランス、パリの南80kmくらいのところにあります、ラ・シャリテ・シュル・ロワールのかつてクリュニー派の修道院だった建物の入り口を飾っていたタンパンの一場面です。

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2009年12月21日 (月)

うずら・リポール・モーゼ

リポール、サンタ・マリア修道院付属教会タンパン(部分) 先日、今度シリア・ヨルダンに添乗する社員と話しをしていたところ、モーゼの生涯の話になりました。

モーゼといえば、海をばかーっと割る紅海渡りのシーンが有名かと思いますが、個人的に印象的なのが、飢えに苦しむイスラエルの人々を救うべく、天からマナとウズラが与えられる件です。

北スペイン、カタルーニャ地方の3大ロマネスク芸術の一つ、リポールのサンタ・マリア修道院付属教会のタンパンにこの場面が描かれていて、それが頭に残っているせいでしょう。

写真はその場面なのですが、右端上部よりウズラがぽてぽてと落っこちてきています。
手を差し出す人々に向かって落ちるウズラの落下移動を示す細い線が雨のようです。

実は私、この話を聞くまで、ウズラが食べられるものという考えがありませんでした。
(もちろん、お弁当や中華丼に入っている「うずらの卵」の存在には馴染みがあったのですが)
しかし、けっこうすぐにウズラを口にする機会に恵まれたのです。

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2009年12月18日 (金)

「ガリシア・デー」に行ってきました

先日の記事で紹介しましたガリシア・デー(サンチャゴ街道編)が開催されました。
091217ガリシアデー
ユーラシアも最新のツアー情報を携え、帆立貝をぶら下げての出展となりました。
会場も満員でかなり盛況な会でした。
コシードにガリシアビール、デザートにはサンチャゴ・ケーキとガリシアの味も人気でした。

さて、この会には2010年の巡礼・ロマネスク芸術のパンフレットを引っさげて・・と以前書いたのですが、製作が遅れており、残念ながら皆様へのお届けはクリスマスの頃となる見込みです。
楽しみにされている皆様、お待たせして誠に申し訳ございません。
納品され次第お送りしますので宜しくお願いします。

2010年の聖ヤコブ年のサンチャゴ巡礼の旅はもちろん、フランス・スペインだけでなく、イギリスやイタリアのロマネスク芸術を巡る旅や、ピレネー山麓のハイキングのツアーなど盛りだくさんの内容を掲載予定です!

資料のお取り寄せはこちらからです。
写真たくさん、全ページカラーなのも人気のパンフレットです。
年内にはお届けいたしますので宜しくお願い致します。
(担当一同)

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2009年12月16日 (水)

アダムとイブ:サン・サヴァン・シュル・ガルダンプ(フランス)

アダムとイブ第二弾です。
今回はフレスコ画をご紹介します。

アダムとイブ、と言えば
神が自身の姿に似せて塵から創られたのがアダム、そしてその伴侶としてアダムの肋骨から生み出したのがイブです。
フランス、サン・サヴァン、フレスコ画
このサン・サヴァンの天井画は11~12世紀に描かれたものです。
つい5年程前の修復(洗浄)により、絵をくすませていた埃が取り払われ美しい当時の色合いが見えてきました。

絵のモチーフは旧約聖書で、教会の北東側の端にアダムとイブの創造が描かれています。

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2009年12月14日 (月)

ここだからいえるホントにあったフォントの話(その2) イギリスフォント

英国でロマネスク芸術が開花したのは大陸より少し後の11世紀。
ノルマンコンクェストによってフランスよりもたらされました。
英国のロマネスクはフランス、スペインの影響だけでなくケルト、アングロ・サクソンの流れも汲んでおり、独特の面白さがあります。
ただ、15世紀の宗教改革により多くの教会が破壊され、再建されたのでロマネスクの建築として残っているものは多くはないです。

そんな過酷な歴史を潜り抜け、英国のロマネスクの素晴らしさを現在に伝える存在といえば・・・・そうです。『フォント』です。
小さくて小回りのきく(?)彼らは、ときに農家の家畜の飼い葉桶として身を潜めつつ、現在までしぶとく存在し続けてきたのです。

英国でロマネスクが流行った頃、洗礼といえば全身水に浸かるタイプのものが主流でした。
ですから、英国に残るロマネスクの『洗礼盤』はとにかく巨大なものが多く、その側面に施された彫刻は見ごたえ充分。英国でロマネスクを巡る、というとタンパンや柱頭よりも俄然、『洗礼盤』が注目されるというのも頷けます。英国、ウィンチェスター大聖堂の洗礼盤
「教会の建物は17世紀のものだけど、洗礼盤はずっと古い11世紀のもの」という教会は、英国にはいっぱいあります。
「重いから持ち去るのもなんだし・・・」という理由でリフォーム後も居座り続けた洗礼盤、落雷で崩壊した大聖堂の天井の瓦礫の下から逞しく生還した洗礼盤、小さな村の小さな礼拝堂に人知れず佇む洗礼盤・・・。

英国ロマネスクといえば『洗礼盤』なのです。

そして、『洗礼盤』ロマネスクの最大の醍醐味といえば!!

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2009年12月11日 (金)

アダムとイブ:フロミスタ、サン・マルティン教会(スペイン)

私事で恐縮ですが、数あるロマネスク美術の中で、幻想動物・地獄絵図とともに好きなモチーフ、ベスト3の座に輝くのは、
アダムとイブ、特に「(イブが蛇に唆され、人類が神に逆らい知恵の実を食べてしまう)原罪」と「(それによりエデンの園を追われる)失楽園」です。
フロミスタのアダムとイブ
多くの教会に飾られている、メジャーなモチーフだけに構図や細かいポーズの微妙な差違を見つけるのが密かな楽しみだったりします。

そんな私の独断と偏見に基づいた「アダムとイブ」コレクションから、いくつか選んで(不定期ですが)ご紹介していきたいと思います。


記念すべき第一回はこちら。北スペイン、ブルゴスの西にある巡礼路沿いの町フロミスタのサン・マルティン教会よりこちらのアダムとイブです。

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2009年12月 9日 (水)

私の好きな町:美食の中心地、古都サルラ

フランスの南西部、大西洋に面したワインの名産地ボルドーから約150キロほど内陸に入ると、豊かな緑に溢れた丘陵地帯があります。

かつては貧しい土地でしたが、近代に入ってからトリュフやフォアグラの名産地となり、美食の里として知られるようになりました。フランス、サルラ
この辺りには中世からの鄙びた田舎町が無数に点在しているのですが、私のイチオシの里はサルラです。

蔦が絡まり、黒ずんだ石組みと歪んだ瓦葺きの屋根は長い年月を感じさせ、入り組んだ路地を歩いているだけでもまるで中世の時代に遡ったかのような気分になります。

人々が行き交う明るい昼間も雰囲気満点ですが、時間があれば是非、霧の立ち込める早朝や街灯の薄明かりに照らされた夜に路地を歩いてみてください。
古ぼけた街だけに少々不気味な感じがしますが、安心して歩ける街です。
昼間より一層、中世の雰囲気が滲み出ていること間違いなし。

中世そのままの鄙びた佇まいを残すことから、度々ジャンヌダルクなど映画の撮影にも使われているそうです。

(上田)
>フランスへの旅はこちら

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2009年12月 7日 (月)

ここだからいえるホントにあったフォントの話(その1)

フォントと聞いて、何を思い浮かべるでしょうか。
やっぱりコンピュータの書体データのことを思い浮かべますか?
スイス、ジョルニコ、サン・ニコラ

フォントといえば『洗礼盤』だ!と真っ先に思い浮かんだ方、相当なロマネスク脳の持ち主であると思われます。
ふつうは真っ先には思い浮かびません。

キリスト教でフォント(font)といえば、洗礼盤。
ロマネスク芸術というと、「回廊」とか「柱頭」とか「タンパン」のイメージが強いような気がします。
しかしながら、あるときは壮麗な柱頭彫刻を乗せた柱の陰にひそやかに、あるときは荘厳な聖堂手前のナルテクスの隅に慎ましやかに身を置く『洗礼盤』にも、決して見逃せない傑作が数多く存在します。

かくいう私も密かに『洗礼盤』を愛するひとりでありまして、添乗先で素敵な『洗礼盤』に出会うと必要以上に洗礼盤の説明をしてしまいかねない傾向にあります。

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2009年12月 4日 (金)

私の好きな町:サン・ジャン・ピエド・ポール

ピレネー山脈の懐のフランスとスペインの国境を挟んで、「バスク」と呼ばれる地域があります。国籍は別れていても民族は同じです。
サン・ジャン・ピエ・ド・ポール
バスク地方の民家は白い外壁に赤く塗られた窓や梁が特徴です。
山を背景に建つ可愛らしい家並みは、まるで絵のような風景を創り出しています。

またバスク地方の象徴といえばベレー帽。
街中を歩くとベレー帽を被った男性を頻繁に見かけます。
「ベレー帽を被り始めて数十年」という貫禄を漂わせているおじいさん、かなりキマっています。

さて、ピレネー山脈の北麓にあるサン・ジャン・ピエ・ド・ポールという街があり、ここはサンティアゴ・デ・コンポステラへの巡礼路の宿場町にもなっています。

私がこの街を訪れたのは日曜日の朝でした。
街中の朝の散策を楽しんでいると教会を通りかかりました。
中ではミサを行っているようです。

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2009年12月 2日 (水)

思い出の味:エスカルゴ

ロカマドゥール ロカマドゥール滞在中に、何となくふらっと入ったレストランの看板がエスカルゴの絵だった。 

この店の名物料理なのだろう、是非食べてみようとお客様と一緒に注文した。

かつて1~2回食べたことがあったような気もするが、よく覚えていない。
そしていざ、料理がテーブルに運ばれてくると、
「しまった、頼まなければ良かった」と焦る。

ハサミのような形の器具の使い方がさっぱりわからない。
正しい食べ方がさっぱりわからない。
周りの方々の食べる様子を、見ていないフリをしながら盗み見て学び、
「もちろん知っています」風に食べなきゃいけないのか・・・
とかいろいろな考えが頭の中でぐるぐる回る。

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