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2009年12月14日 (月)

ここだからいえるホントにあったフォントの話(その2) イギリスフォント

英国でロマネスク芸術が開花したのは大陸より少し後の11世紀。
ノルマンコンクェストによってフランスよりもたらされました。
英国のロマネスクはフランス、スペインの影響だけでなくケルト、アングロ・サクソンの流れも汲んでおり、独特の面白さがあります。
ただ、15世紀の宗教改革により多くの教会が破壊され、再建されたのでロマネスクの建築として残っているものは多くはないです。

そんな過酷な歴史を潜り抜け、英国のロマネスクの素晴らしさを現在に伝える存在といえば・・・・そうです。『フォント』です。
小さくて小回りのきく(?)彼らは、ときに農家の家畜の飼い葉桶として身を潜めつつ、現在までしぶとく存在し続けてきたのです。

英国でロマネスクが流行った頃、洗礼といえば全身水に浸かるタイプのものが主流でした。
ですから、英国に残るロマネスクの『洗礼盤』はとにかく巨大なものが多く、その側面に施された彫刻は見ごたえ充分。英国でロマネスクを巡る、というとタンパンや柱頭よりも俄然、『洗礼盤』が注目されるというのも頷けます。英国、ウィンチェスター大聖堂の洗礼盤
「教会の建物は17世紀のものだけど、洗礼盤はずっと古い11世紀のもの」という教会は、英国にはいっぱいあります。
「重いから持ち去るのもなんだし・・・」という理由でリフォーム後も居座り続けた洗礼盤、落雷で崩壊した大聖堂の天井の瓦礫の下から逞しく生還した洗礼盤、小さな村の小さな礼拝堂に人知れず佇む洗礼盤・・・。

英国ロマネスクといえば『洗礼盤』なのです。

そして、『洗礼盤』ロマネスクの最大の醍醐味といえば!!

“近さ”・・・・でしょう。 
タンパンや柱頭彫刻は概ね、訪れる人々の頭より高い位地にあります。
ロマネスクを巡る上でオペラグラスが欠かせないのもこの距離感ゆえ。

それに比べ我等が『フォント』はとにかく近い。
頭の上どころかしゃがんで見るくらいの位置にあり、手を伸ばせば触れられるどころか頬ずりも可能。
千年近くもの間多くの人が「ひと触り」を繰り返した結果、洗礼盤の表面はぴかぴかに光っているくらいです。
石工たちが丹念に刻んだ彫刻がもう、本当に、目の前に!!

聖書の物語を彫る彼らの情熱が、洗礼盤を通して伝わってくるような臨場感。
興奮に胸が高鳴ります。
周りを中腰でぐるぐる回り、ありとあらゆる角度から舐めるように楽しむロマネスク・フォント。

洗礼盤一つで1時間は楽しめます。(宮澤)

>英国ロマネスクのツアーはこちらから
(12月下旬の発表予定です)

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