魅惑の持送り その1 ノーズグリムストン/セント・ニコラス聖堂(英国)
前にノースグリムストンの洗礼盤についてここに書きましたが、実は洗礼盤以外にも気になって仕方のないものがこの聖堂にはあります。セント・ニコラス聖堂の外壁、屋根の下にある・・・それは「持送り」。
屋根の張り出した部分を支えるこの「持送り」に施された彫刻。
実に不思議です。
高いところにあるのでなかなか見え辛く、写真を撮る時もかなりズームにしないといけません。
左の写真、なにやら人の顔のようなものがついている。
カメラのズームを最大にしてみたのがこちら(右)。これは「シーラ・ナ・ギグ」と呼ばれるもので、女性が自らの女陰を両手でがばっと開いているという大胆極まりないポーズ。
かつてアイルランドの古い聖堂でも良く見られたものだそうですが、そのあまりの大胆さにビクトリア朝時代にだいぶ破壊されてしまったそうです。豊穣のシンボルではないか、もしくは両手で開いているのは実は胸であり、心臓を見せているポーズなのではないかなどなど諸説あるようですが・・・。キリスト教以前の異教の名残を感じる、実にミステリアスな彫刻です。
が、私がセント・ニコラス聖堂で釘付けになったのはシーラ・ナ・ギグよりもむしろこちらの持送り(左写真)。
これは一体なんなのか。ドナルドダッグのようなその風貌から、なにかアヒルのようなものなのではないかと思われますが、それにしてもこの絶妙な表情。目をかっと見開き、口(くちばしか?)も全開。そしてなぜか口の中にばってんの印が。まるで漫画です。大聖堂や修道院建築のガーゴイルに、制作者がふざけたとしか思えないすごい彫刻をたまに見かけますが、それと同じようなものなのでしょうか。それにしても口の中のばってんが気になります。(宮澤)
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