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2010年2月

2010年2月26日 (金)

巡礼路を、歩かない(スペイン)

聖地への巡礼といえば、自分の足で歩くもの。
世界の宗教によっては、時に膝で、体中で聖地へにじり寄っていくところもあります。

スペイン、ブルゴス大聖堂前広場

とはいへ、歩こう歩こうと、様々な媒体で取りざたされている聖地サンティアゴへの道、タイトルのように歩かないとすればどうやって行くのでしょう?
もちろん、多くのツアーはバスを利用しますので、条件のいいところを一部歩く、という形になります。平地なら5キロくらいのコースですが、雨天時や、歩きたくないという方はバスで先回りすることも可能です。
歩きつかれて椅子に座っていてもたどり着くのでバスはらくちん。
(写真はブルゴスの大聖堂前、一休みの巡礼者)

では、バスでもなく徒歩でもなくサンティアゴ・デ・コンポステーラへ向かう手段には何があるでしょうか。

そう、ひとつは自転車。
これは現地でもよく見かけます。
巡礼を果たしたという証明を受けるため、徒歩の巡礼者は聖地から遡って最低100Km歩く必要がありますが、自転車の場合は200kmを走る必要があります。
時に車道を走り、時にでこぼこのオフロードを走行・・・自転車は軽快に私たちを追い抜いて走り去ります。

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2010年2月25日 (木)

続・スペインのビール

クルス・カンポ昨日にひき続いては、セビーリャ近郊の「クルス・カンポ」が登場です。
大きな帽子のお兄さん(おじさん?)が目印です。
比較的、軽くて飲みやすいビールです。

なぜか全国のパラドールでよく見かける(気がする)銘柄です。
写真は左がセビーリャ、右はサモラで撮影。
この人、顔もポーズも衣装もいろいろバージョンがあって見比べるのが楽しい銘柄のひとつです。

最後にひとつ、北スペインから。
エステーリャ・ガリシア聖地サンティアゴがあるガリシア地方に入ると、「エステーリャ・ガリシア」を置く店が増えてきます。
しっかりビールの味がするので、エ●スビール好きの方にお勧めです。

カウンターのサルカデロスの焼き物のビールサーバーが個性的。
女性をかたどったものが多いのですが、顔つきやポーズも様々で面白いのです。
写真は、サンティアゴとアルスーアの近郊で撮影したもの。
どちらも、ついつい気になる表情と色彩です。

こんな発見もありますから、北スペインでバルに入ったらお酒を飲めない方も、ぜひカウンターのビールサーバーにはご注目下さい!

(山岸)
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2010年2月24日 (水)

スペインのビール

スペインのバルにて最近、東京にも「スペインBAR」が増えてきました。
そんなバルを移動中に見かけるたびに思い出すのが、本場スペインのあんなバル、こんなバル…
例えば、写真の、北スペインのとあるバル。ブロンズの腕のようなビールサーバー、リンゴがかわいいリンゴ酒(シードル)のサーバーが印象的でした。

そう、スペインを旅していると各地のバルにお世話になるのです。
飲食はもちろん、お手洗いを借りたり、道を聞いたり・・とにかく頼りになる存在。
地元のおじさんたちはクジを買ったり談笑を楽しんだりしていて、そんな様子を眺めるのも楽しみの一つです。

そんなバルで提供される人気の飲み物といえばビールやワイン。お店にもよりますが、町中なら一杯2~3ユーロで立ち飲みできるのも嬉しいところ。
(但し、添乗中はアルコールフリーのコーヒーや水、サイダーの注文ですが…)

マオウビールスペインワインについてはまた別の機会に紹介するとしまして、今日・明日と、ビールと、バールででんとカウンターに鎮座する生ビールのサーバーをご紹介しましょう。

まずは、スペインのツアーでよく“魔法のビール”と呼ばれる、「マオウビール」。
マドリッド近郊でよく見かけます。
(でもこのお店では、なぜかオランダのアムステルビールのグラスを使用…。レオンのとあるバルにて。)

写真手前にビールと一緒に写っているのはおつまみのポテトチップです。
ビールでもサイダーでも、現地のバールで飲み物を頼むとたいていつまみが出てきます。
何種類かあって選べるお店や、有無を言わせずピーナツのお店などなど…、つまみがないと悲しい気持ちになります。
(名古屋育ちなので、例えコーヒーを頼んでも、つまみが何もついてこないと落ち着かない…)

しかし夕食前の一杯なのにオムレツがつまみについたりして、うっかりしているとこれでお腹一杯になって困ります。

続きはまた明日
(山岸)

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2010年2月19日 (金)

ロマネスクとは(その6:柱頭の続き)

サンテニヤン

さて、前回紹介した柱頭ですが、この柱頭彫刻の面白いところは、壁画より一層限定された空間を用いて表現をするため、デフォルメが加わりやすく、それが個性のように感じられる点だと個人的には考えています。

たとえば、今回ご紹介する3点ですが、いずれも新約聖書のエピソードで、ヘロデ王による嬰児虐殺の難を逃れるため、幼子イエスが父母とともにエジプトを目指すというくだりを描いたものです。

同じ場面を描いていても、教会の建てられた時代・石工の好み・立地(それによる人々の好みや石材の違い)、または教会の規模によって描かれ方はずいぶん違ってきます。ソーリュー

「手本」となった写本などの影響で、なんとなく聖父ヨセフが手綱を引き、ロバに聖母と幼子が乗っている図は共通ですね。
柱の角をはさんで、父と母子が別れる構図も多いようです。

3人の表情もそれぞれに違うので、比較してみるのも面白いですね。
母子が独立した「聖母子像」として正面を向いて厳格な表情を浮かべているものもあります。
ヨセフの表情や動き、ロバの様子もちょっとずつ違っています。

いかがですか?
同じ題材を同じ「柱頭」に表現してもこれだけ違ったものが出来上がります。オータン
タンパンや壁画に比べると「小粒」なものが多い柱頭彫刻ですが、結構見ごたえありなのです。

今回ご紹介した写真は・・上からサン・テニヤン・シュル・シュール「サンテニヤン僧会教会」、ソーリュー「サン・タン・ドージュ聖堂」、オータン「サン・ラザール聖堂」(いずれもフランス)の柱頭です。

(山岸)

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2010年2月17日 (水)

ロマネスクとは(その5:柱頭)

柱頭…読んで字のごとくなのですが、これも音だけ聞くとピンとき難い用語のひとつ。

アテネ、ゼウス神殿

円柱とアーチの間などにある部分です。
ロマネスク以前にもこの部分は多く装飾が施されていました。
美術か歴史の授業で「コリントス様式」「イオニア様式」などを習ったご記憶がある方も多いでしょう。(写真は本場?ギリシャの首都アテネのゼウス神殿のコリントス様式の柱頭)
実際、ロマネスク建築が盛んであったスペインやフランス南部までローマ人たちは進出し、町を築いていましたので、そういった遺跡も手本にされたといわれています。

本来偶像崇拝を禁じていたキリスト教ですから、時代が下るにつれ立体彫刻が増えたと言っても、やはり幾何学模様や葉っぱなどの植物紋様も多いです。

ソーリュー、サン・タン・ドージュ聖堂

その植物の陰に見え隠れする生物や、聖書や聖人にまつわる伝説などの場面、空想の生き物など、限られた空間を最大限に活かし彫られた、柱頭も、ロマネスク芸術鑑賞の楽しみの一つです。

写真は、フランス、ソーリューのサン・タン・ドージュ聖堂の中を飾る彫刻のひとつ。ギリシャのコリントス様式のような葉っぱですが、真ん中にフクロウがいますね。

この教会は小さいながら、ストーリーの分かり易い柱が中心で、数が多すぎず全部見たぞ!という感じが味わえてとても楽しいところです。
例えば、こちらの「偽預言者バルラム」。石材の角をうまく利用した場面構成。

ソーリュー、サン・タン・ドージュ聖堂

無垢なロバには天使が見えるも偽預言者バルラムには天使が見えない…という旧約聖書の一幕が描かれています。

他にも新約聖書の、「エジプト逃避」や「ノリ・メ・タンゲレ(復活したイエスに再会したマグダラのマリアが抱擁を交わそうとするも制せられる)」場面が描かれています。

平面のタンパンと異なり、360度ぐるり使える柱頭はたくさんの場面がひとつに描かれていて見ごたえ十分。教会や時代・石工の個性が強く出ているので比較してみるのもお勧めです。

(山岸)

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2010年2月16日 (火)

ロマネスクとは(その4:タンパンつづき)

前回、タンパンの紹介で幾つかの教会のタンパンを紹介しました。
コンクについては、既にご紹介していますので、魅力的なタンパンを幾つかご紹介しましょう。

オータンのタンパンは西側入り口を飾るものです。オータン、サンラザロ
最後の審判の様子は、詳細は違えどポイントは同じです。
見逃せないのは天国に向かう一団のこのひとたち。
ちょっとピンボケで申し訳ないのですが、真ん中を行く人のかばんにご注目。
そうです。貝です。帆立貝をつけています。
この人は聖地サンティアゴを目指す巡礼者、彼の後ろにはエルサレムへ向かう巡礼者がいます。
車も飛行機も無かった時代、巡礼の道半ばで不慮の最後を遂げる巡礼者も少なくありませんでしたが、そんな人々は審判の日には天国に迎えられるのだよ、と、巡礼街道筋にあったオータンのサン・ラザロ聖堂のタンパンは教えてくれます。

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2010年2月10日 (水)

ロマネスクとは(その3:タンパン)

Conques_2一般に、“たんぱん”という音を聞いて連想されるのは、短いズボンだと思います。

移動中や、空き時間に携帯電話のメール機能を使って作文していると、こういった用語や、図象のことなど、なかなか変換ができなくて苦労します。

しかし教育の甲斐あってか、私の携帯も「たん」と入れれば予測変換でタンパンを表示してくれるようになりました。Autun

さて、建築の用語の中で、タンパンは他で使わないのと、日本語に直しにくいので、なかなか覚えるのが難しいですが、出入り口扉の上の半月状の空間の部分と思っていただければ、だいたい大丈夫です。

一般信徒向けの教会では、特に出入り口上を飾るタンパンには教会側の強いメッセージが刻まれました。
終末思想が広まったロマネスクが生まれた時代には、好んで最後の審判が題材に選ばれ、人々に生活を改めるように迫ったのです。
(1枚目の写真はコンク、2枚目はオータンでいずれも最後の審判をテーマにしたタンパンで有名)

San_pierre

単に半月の空間に画くだけではなく、時代や土地によって、特にゴシックに近づくにつれ、半月の中をクローバーの葉のように空間を切り取ることもあります。

左の写真(サン・ピエール・ムティエ)のように、その隙間に4福音書記者を配したデザインもありますよ。

(山岸)

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2010年2月 4日 (木)

カニグーのサン・マルタン修道院(フランス)

まさかのカニグー!

2月3日、ロマネスクフォーラムが開催されました。
馬杉宗夫先生を講師にお迎えし、寒い中多くのお客様にお集まりいただき、なかなか盛況な会であったと思います。

さて、冒頭の言葉は馬杉先生の講演を拝聴していた弊社社員(複数名)の感想です。
160枚ほどの先生のスライド写真の第一枚目を飾ったのが、フランスのサン・マルタン修道院だったのです。

カニグーのサンマルタン教会

なるほど、修道院の回廊を俯瞰する写真を撮るには、鐘楼に登るか、サン・マルタンのように修道院を見下ろす展望台に登るのがベストで、修道院の形をぱっと紹介するにはこの写真が一番なのだとよく考えると分かった気がします。

山間にひっそりと残るサン・マルタン教会だからこそ撮影できる写真です。(記事上の写真は添乗員が撮影したものです)

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2010年2月 2日 (火)

魅惑の持送り その2 モントワール・シュル・ロワール/サン・ジル礼拝堂(フランス)

西フランスの教会を訪ねていると、もちろん堂内のフレスコ画や柱頭彫刻も素晴らしいのですが、教会に入る前から気になるものがあります。
そう、それは持ち送り。

上ばっかり見て歩いているので足元がおろそかになり危険です。
特に、西フランスのモントワール・シュル・ロワールのサンジル礼拝堂は、近くの川の氾濫などで、教会建設時に比べ、地面が1メートルくらい高くなっているので、堀のようにえぐれている後陣付近は要注意なのです。モントワール・シュル・ロワールのサンジル礼拝堂持ち送り

なぜなら、こんな気になる持ち送りがあるのです。

・・・さあ、これはなんでしょう?

このポーズ再現してみたいのですが、
腰を痛めそうですからやめておきましょう。

お下げを持っているのではないですよ。
頭の上にはおしり、両足を顔の横で持っています。
勝ち誇ったような憎らしい表情にも注目です。

「アクロバット」や「軽業師」という解釈が一般的ですが、こういう俗っぽいモチーフがなぜ修道院付属教会の持ち送りに…

謎です。

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