3人のサント・ドミンゴ(スペイン)
最近の子供の名前は読みにくい、という言葉をよく耳にします。しかし、キリスト教や神話の人物、既存の単語から子供の名前を選ぶことが多い国では、そんな心配は少ない気がします。
逆に、同じ名前で読みが違ったり、同じ名前の人が何人も繋がったりはしますけれども。(例えばブルボンのルイ○世なんて、区別がつかなく、もう大変!)
さて、スペインのブルゴス近郊では、「聖ドミンゴ」の名前を持つ町がいくつかあります。
グレゴリオ聖歌で有名な修道院がある、サント・ドミンゴ・デ・シロス、
にわとり伝説のサント・ドミンゴ・デ・カルサーダなど。
このサント・ドミンゴはそれぞれ別人、これに、さらにドミニク会修道会を築いた聖・ドミニクが加わるので、このあたりを旅するときは、どのドミニクさんのお話なのか、聞き分けるのが大変だったりします。
今日はそのうちの一人、サント・ドミンゴ・デ・カルサーダに祀られている、「石畳の」聖ドミンゴをご紹介します。
聖地サンティアゴ巡礼路沿いの小さな町、サント・ドミンゴ・デ・カルサーダは、11世紀、川に橋をかけ、道に石畳を敷き、巡礼者のために救護院を整えた、聖ドミンゴが開拓し、また彼の遺骸を祀る教会を中心に発展したといわれています。
町の中心には元貴族の屋敷で後に救護院となり、近年はパラドールとなった建物が堂々と構え、その向かいには教会と大きな鐘楼がそびえています。
この町のシンボルはにわとり。
パン屋の店先から石造りの屋敷の壁と、あらゆる所ににわとりのモチーフが。
にわとりがこの町のシンボルになったのにはある伝説が関係しています。
それは、同じくサンティアゴ巡礼沿いのポルトガルのバルセロスに似たような伝説がありますが、中世、この村でとある無辜の若者が盗人の罪を着せられたのを、聖ヤコブが救った際に、青年の無実の証として、裁判官の食卓のローストチキンが復活して嘶いたといわれています。
それ以来、ここの大聖堂にはいつもつがいのにわとりが飼われています。
いつも真っ白なにわとりが小さな小屋の中にいます。
でも、大聖堂に入る機会がありましたら、にわとりを見上げるだけではなく、巡礼者のために道を敷いた聖ドミンゴへのお参りもお忘れなく!
(山岸)
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