旅のお供に:ウンベルト・エーコ『薔薇の名前』
ロマネスク好きの方ならご存じの方が多いでしょう
ショーン・コネリーの主演で映画化もしていますので。
ウンベルト・エーコ『薔薇の名前』。
難解な文章、しばしば挿入される主人公アドソの独白…
時間をかけてゆっくり読みたい本です。
個人的には風景や情景の描写に惹かれました。
中でも、物語の舞台である修道院の教会扉口の詳細な紹介は圧巻です!
作者も明かしているように、そのモデルはフランスモワサックのサン・ピエール修道院付属教会のそれ。
(映画版はこれにさらにオータンのサン・ラザール教会のまぐさ石を合成している豪華さ!)
しかし小説を読んでいて頭をよぎる情景は、
南西フランスの陽気な光の元で見たモワサックよりも
イタリアのスーザの谷にあるサクラ・ディ・サンミケーレのそびえる修道院です。
ある秋の雨の日、霧のなかからのっそり現れた巨大な石の固まり、滴る雨、修道士の墓。
設定のリグリアの山は遠く、時代も異なる場所なのですが、纏っていた雰囲気のせいでしょう、同じ謎を掻き立てる気配がサクラ・ディ・サンミケーレにはあった気がします。
(山岸)
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