楽しい食卓・その3「最後の晩餐」(イギリス、フランス)
楽しい食卓シリーズ、3回と4回は最後の晩餐を紹介します。
最後の晩餐そのものについては、以前イースターの特集で紹介しました(こちら)ので、どんどん作品を紹介していきたいと思います。
最後の晩餐の描き方は、ローマ人の食卓風景のように寝そべった姿に始まりました。
寝ていた人物たちが、現代の私たちもするように椅子にかけ食卓に着くようになります。
同時に、13人の事物の動きとともに、重要なのが食卓に上るものです。
本来は、この食事風景は過ぎ越しの日の模様ですから、子羊の肉を食べているはずなのですが、聖体拝領の起源を伝えるため、キリストを象徴する魚、もしくはパンとぶどう酒が強調されるようになります。
(写真はフランス、ノアン・ヴィックのサン・マルティン教会の最後の晩餐の様子ですが、切り分けたパンがピザみたいです。
この時代、まだフォークはないのでナイフばかりが目立ちます)
ちなみに、最後の晩餐では重要な「こちらを向いている人物たち」と、「食卓の上のもの」という、現実では同時に見ることが出来ないものを、2つを同時に私たちに示すため、写実的ではなくなってしまいます。
けっして遠近法が分からないわけではなく、人間の視界や現実を超越した世界を描くためこうなっているのだそうです。
とはいえ、平面の壁に描く場合と異なり、柱頭のように限られたスペースに、この細長い絵柄を入れ込もうとしますとどうしても柱を取り囲むようになります。
(前回紹介しました、イソワールのものもそうですね)
そして構図の都合からなのか、どうなのか、13人が立ち上がってしまったりもしています。
(立っている様に見えるだけかもしてませんが)
さらに、立食形式になってしまったうえに、フレームの都合で途中から短足になってしまったのは、イギリスのノースグリムストンのセント・ニコラス聖堂にあります、洗礼盤に描かれた晩餐の風景です。
ご覧のとおり、右2名の足が都合により短く…
最後の晩餐に限らず、1つの絵が複数の時、複数の視点を持つことが多いため、現実ではありえない絵になってしまうものが多いのですが、ちょっとこの端っこの両名には気の毒な気もいたします。
(山岸)
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