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2011年2月 1日 (火)

【共通テーマデー】旅に誘われた私の一冊

本日は1日。
ということで、ブログは共通テーマの日です。

旅心誘う一冊、ということですが、本日は『薔薇の名前』でおなじみのウンベルト・エーコの『バウドリーノ』をご紹介いたします。

話の舞台は1155年から1204年。
語り手バウドリーノはコンスタンティノープル(現イスタンブール)に居り、彼が語る自身の人生に関する「物語」は、エーコの生まれ故郷でもある現在のイタリア、ピエモンテ州のアレッサンドリアから始まり、フリードリッヒ1世=バルバロッサが治める神聖ローマ帝国領、コンスタンティノープル、そして東方世界へと広がってゆきます。

フリードリッヒや、バウドリーノの物語の聞き手となる、コンスタンティノープルのニケタス・コニアテス始め、実在の人物や地名歴史上の出来事(主にフリードリッヒのイタリア遠征の戦)などが話の軸に存在しながらも、ファンタジックな要素がふんだんに取り入れられていることから、「遊び心たっぷりの冒険物語」として単行本の帯などには紹介をされています。

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ファンタジー色を強めているのが、バウドリーノが小アジアの向こう、当時のキリスト教徒にとっては異世界であり、エデンの園へと続く土地への冒険のお話、そして彼の地に暮らす異形の生き物達のせいでしょう。
しかしながら、21世紀の私達にとってはファンタジーであっても、12~13世紀のヨーロッパの人々にとって、それが「ファンタジー」であったのかどうか。

ロマネスクの教会を巡っていますと、確かに、彼らの「世界」の中に、その土地は存在し、本書に登場するような「異形」の生き物達が暮らしていたのだということを感じることが出来ます。

例えば、ウェズレーのサン・マドレーヌ教会の有名なタンパンには、聖霊降臨のシーンが描かれていますが、キリストの霊感を受けあらゆる人語を語れるようになった使徒達とともに、キリスト教を受け取るべき、世界中の人たちが描かれています。
巨人や小人、キュノケパロイ(犬頭人)、豚鼻人、パノッティ(大耳人)などなど

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さて、『バウドリーノ』に戻りましょう。
この単行本に挿入されている人物一覧の中に
ガヴァガイ・・・スキアポデス族のひとり。
という紹介があります。
はて、スキアポデスとは何でしょう?

バウドリーノたちにとっては「異形」の人ですが、詳しい描写は本誌を楽しく読んでいただくとしまして、ここでは、かわいいスキアポデスに出会える教会をご紹介します。
フランスのブールジュ近郊にあります、サン・パリーズ・レ・シャテルのサン・パトリック教会です。

私はこの人を思い浮かべながら『バウドリーノ』を読みました。

ピエモンテの町々やイスタンブールの街並みももちろんですが、中世の人々が描いた世界の住人たちにも思いを馳せると、より一層、バウドリーノの語る物語に引き込まれてゆくこと間違いありません。
もっと後代の出版物の挿絵もいいですが、同じ中世の作品の方が、しっくり来るような気がします。
(山岸)

【共通テーマデー】6つのブログでお届けする「旅に誘われた私の一冊」

〔添乗見聞録編〕
〔倶楽部ユーラシア編〕
〔ぶらり秘境探検隊編〕
〔ろまねすく通信編〕
〔船の旅便り編〕
〔パゴタの国からミンガラバー編〕

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