旅のお供に:映画「神々と男たち」
昨日、映画「神々と男たち」の試写会に行ってまいりました。
グザヴィエ・ボーヴォワ監督のフランス映画。
2010年カンヌ国際映画祭グランプリ受賞作品ということもあり、アカデミー賞外国語映画賞最有力といわれ、
先日のロマネスクの集いでもご紹介させていただきました。
物語は1996年にアルジェリア東部、メディアの近くの山間で起こった、武装イスラム集団によるフランス人修道士誘拐事件を基にしています。
しかし、事件そのものや未だ未解決の誘拐劇の真相はこの映画の主題ではなく、
厳律シトー会修道士のアルジェリアにおける生活、地元のムスリム(イスラム教徒)の村人達との関わり、そして命を危険にさらされたその時の、苦悩と心のあり方を静かに描き出しています。
厳律シトー会はトラピストとも呼ばれ、日本でも大分県で活動する修道院が有名です。
ヴェネディクト会のシトー派のさらに一派です。
シトー派の基本である、祈りと労働に生きる姿や、質素倹約を体現したような修道院の有様は、フランスに現存するフォントネー修道院(今は活動していない)や、プロヴァンスのセナンク修道院等で今も感じることが出来ます。
陽光溢れるプロヴァンスにありながら、山の谷に守られてひんやりとした分厚い壁の僧房。窓から差し込む明かりが生み出す濃厚な陰影の聖堂。静寂の回廊・・・。
映画の中で、修道士達の生活が描き出されるたびに、何度もセナンク修道院を訪れた時の記憶が甦ってきました。
作中、度々修道士の生活を描く傍ら、時にBGMとして、またモノローグの代わりのように、聖書を歌い読む聖歌が流れます。
北スペインのヴェネディクト派の修道院で度々聖務やミサに参列した事がありますが、現役の修道院が少なくなったフランスで、そのような経験はあまりなく、フランス語の聖歌が、とても新鮮でした。
是非、この作品は吹き替えではなく、原語の音声で楽しんでいただきたいと思います。
映画を見終わって
題名が、DES HOMMES ET DES DIEUXつまり「神々と人々(男たち)」と複数形になっている意味を、さらに深く考えさせられた作品です。
そして、
インシャッラー(神が思し召し給うならば)という言葉の意味も。
(山岸)
より詳しいあらすじ、キャストなどに関しましては、公式サイトからどうぞ
(3月上旬に東京シネスイッチ銀座で公開、その後全国の劇場にて順次公開予定)
フランスへの旅はこちら
アルジェリアへの旅はこちら(撮影は、主にモロッコで行われたそうです。)
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