【サンティアゴ・デ・コンポステラを歩く】~大聖堂に登る・その3~
「屋根ツアー」はまだまだ続きます。
更に上へ上へ狭く薄暗い階段をのぼり、遂に屋根の上にやってきました。
聖地サンティアゴ大聖堂の屋根は非常にシンプル。
典型的な三角屋根にそって緩やかな傾斜になっている石瓦の上を歩きます。
屋根の淵には頑強な石の手すりが付いており、コロコロ転がって落下する心配はありませんが、やはり足元がゾクゾクします。
屋根の上も大聖堂の正面ファサード裏手に位置しています。背後から拝むマント姿の聖ヤコブ様の小さな背中が頼もしく見えました。
ここでとっておきの面白い話を2つ後紹介しましょう。大聖堂後方、ちょうど「免罪の門」の上部には一際大きな塔が聳えています。
この塔の最上部はグルリ一周ガラス張りになっていて、目を凝らしてよくよく眺めてみると、何と中にはランプがひとつ灯されています。まるで岬に立つ灯台のようです。
実はこれ、巡礼者を聖地へ導く灯台の役目があります。
大聖堂の尖塔がはっきりと見えなくても、巡礼者が方角を見失うことのないように、かつては大聖堂の目印として灯されていたものです。
一年を通して雨や霧が多いサンティアゴならではの、巡礼者に対する配慮ですね。
雨の中、最後の力を振り絞って歩いてきた巡礼者たちには、この小さな光が大きな励みになったと思います。
この陸の灯台、現在は聖ヤコブ年の一年間だけ、特別に光を灯しています。
屋根の上を歩き始めてしばらくすると、鐘の音が聞こえてきました。
現在、毎時の鐘付きは自動化されていますが、中世の頃はやはり人力でした。
高い鐘楼まで毎回登るのは大変。
そこでサンティアゴの大聖堂では何と、大胆にも鐘付き人を屋根の上に住まわせてしまったのです!
しかも鐘付き人とその家族、更に家畜の豚も一緒に屋根の上に住み始めました。これで毎時の大変な鐘付き作業の問題は一件落着。
時間に追われてあたふたと塔に登ることは無くなったそうです。
この説明の後、ツアー一行は実際にその家族が住んでいた小さな部屋をのぞいて、もと来た階段を下りてゆきます。
屋根ツアーで上り下りする階段は合計100段。
聖地サンティアゴの土産話に屋根ツアーは一押しです。
(上田)
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【サンティアゴ・デ・コンポステラ大聖堂・屋根ツアー】
毎日10~14時、16~19時/毎時出発。各回定員25名まで。 ※事前予約が必要となります。
参加費10ユーロ(手帳持参の巡礼者は8ユーロ)英語もしくはスペイン語ガイドツアーとなります。
(※2011年3月現在)
詳しくは下記ホームページでご確認下さい。
http://www.catedraldesantiago.es/ing/webcatedral.html
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