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2011年4月

2011年4月28日 (木)

かわいい黄色い列車(フランス)

フランスの山岳列車、ル・プチ・トラン・ジョーヌ

旅の移動手段といえば飛行機や船、車に自転車、徒歩など色々ありますが、旅情を一際際立たせてくれる乗り物に、列車があります。
今日は、ピレネー山脈のフランス側を走っているかわいい小さな黄色い列車、プチトラン・ジョーヌをご紹介します。

プチトラン・ジョーヌは、カニグー修道院見学の拠点であるヴェルネ・レ・バン村と麓のヴィル・フランシュ・コンフラン村の名前を取って、「ヴィルフランシュ・ヴェルネ・レ・バン駅」と、スペイン国境近くの「ラ・トゥール・デ・キャロル」駅を結ぶ線、セルダーニュ線の愛称です。
車体の黄色に赤の線はかつてこのあたり一帯に広がっていたカタルーニャ王国の旗(黄色に赤線5本)から取られており、その黄色い車体にちなみ、黄色い小さな列車という呼び名が生まれました。

フランスの山岳列車、ル・プチ・トラン・ジョーヌ

ヴィルフランシュ・ヴェルネ・レ・バンからラ・トゥール・デ・キャロルまでは3時間ほどの距離。
走り始めて最初は深い渓谷沿いを走ります。
急勾配を上りながら谷を右に左に走るのでスリル満点!
時々渡る鉄橋や石の橋はハイライトの1つ。
乗りながら乗っている列車の写真を撮るのは容易ではありませんが、何度か橋を渡りますので、挑戦されてみてはいかがでしょうか?
さて、だいたい中間近くが路線の最高地点で、そこからは緩やかに下りながら高原地帯を走っていきます。

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2011年4月26日 (火)

聖週間より:十字架降架

聖週間の物語は、木曜日の最後の晩餐、金曜日の磔刑、日曜日の復活が大きなハイライトといえますが、磔刑に替えて教会などで描かれるモチーフがあります。
それは、十字架にかけられたキリストを、刑の後、十字架から降ろす『十字架降架(またはキリスト降架)』のシーンです。
「フランダースの犬」で主人公が憧れる、ルーベンスの傑作も、この十字架降架を描いたものでした。
ノアン・ヴィック「サン・マルティン教会」の十字架降架
さて、十字架降架ですが、もちろん主役は人の子として死んでしまったキリスト。
他に登場人物は、イエスの遺体の引き取りを許されたアリマタヤのヨセフ(養父ヨセフとは別人)とニコデモ、そして聖母マリアと聖ヨハネの4人です。
写真はフランス、ノアン・ヴィックのサン・マルティン教会ですが、キリストを肩に支えているのがヨセフ、左手の釘を抜いているのがニコデモ、左手の下で頬に手を当てて悲しみを表現しているのが聖ヨハネです。
この絵は入り口寄りに描かれていた聖母は剥落してしまってよく分かりませんが、釘を外されたキリストの右手を自分の頬にあて、その死を悼んでいます。
十字架の上に浮かんでいるのは、顔を覆う月と太陽です。
キリストが絶命した瞬間、昼間の空が闇に包まれ(日蝕)たということから、月と太陽が顔を覆い世が闇に閉ざされた様を表現しているのです。

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2011年4月21日 (木)

聖週間より:捕縛…その時彼は(フランス、イタリア、スイス)

スイス、ツィリスのサンマルティン教会

前回ご案内した、キリストの視線を受ける人物…それは後光つきなのに人に刃物を突きつけているこの人です。

そう、捕縛される瞬間に、キリストがユダでも自分を捕らえようとする人々でもなく気にかけていたのは、十二使徒筆頭の聖ペテロです。
キリストを捕らえに多くの人々(大祭司率いる一師団とも群集とも)が詰めかけ、騒然とする中、ペテロは兵士の一人につかみかかりその方耳を切り落としてしまいます。
それを見たキリスト、「剣によって戦うものは、剣によって滅びる・・・」と言ってペテロの行為をたしなめます。

ツィリスのサン・マルティン教会の天井画で、キリストの捕縛のひとつ前のパネルが上の写真です。天井画の各パネルは幾重もの枠線で囲われているのですが、この2点はとてもよく似た線が使われています。
キリストの指差す先には人を傷つけるばかりの剣があるのです。

フランス、ノアン・ヴィックのサンマルティン教会

続いて、フランス、ノアン・ヴィックのサン・マルティン教会の方です。

刃物を振り上げる聖ペテロ。
左手は既に兵士の耳をわしづかみにしています。
兵士を見下ろすペテロの目にためらいはないように見えます。

一方一際小さく書かれた兵士は、無表情にペテロを見上げています。
手に力もなく、もうすっかり観念してしまったのか?という顔です。

人物の重要度によって人の大きさを描き別けているので、なんだか子供が叱られているようにも見えてしまいます。

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2011年4月20日 (水)

聖週間より:キリストの捕縛(イタリア、スイス)

昨日に引き続き、聖週間のストーリーからキリストの捕縛のシーンです。
イタリア、サンタンジェロ・インフォルミス教会
まずは、南イタリア、ナポリ近郊のサンタンジェロ・インフォルミス教会の内陣フレスコ画です。
11世紀後半の作品で、ビザンツの修道士の画法が用いられているといわれていますが、背景の青や人物の躍動感溢れる動きにご注目を。
登場人物の肌の色も、赤・黒・青といった顔色も混じり、東方やアフリカとの交易・交流があった南イタリアならではの発想に感じられます。
このユダはキリストの左手側からやってきています。

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2011年4月19日 (火)

聖週間より:キリストの捕縛(フランス)

今年2011年の復活祭は4月24日(カトリックの暦、と今年はギリシャ正教の暦においても)。
ということで、昨年に続き今年も聖週間をモチーフとした絵や彫刻をご紹介いたします。
とはいえ、大筋は昨年お話していますので、前回紹介できなかったパートをご紹介いたします。

フランス、ノアン・ヴィック村のサン・マルティン教会

まずは、「キリストの捕縛」もしくは「ユダの接吻」のシーン。
点数が多いので今日明日に別けましてご紹介します。

最後の晩餐も終わり、ゲッセマネの園で苦悩したキリストですが、ついに裏切り者のユダを先頭にローマ兵たちが押し寄せます。
画家は、「私が先生と挨拶(キス)をするのが、イエス・キリスト。」というキリストの顔を知るユダの合図と、キリストを捕らえる兵士や弟子達の群像を、場面に切り取っています。
しかし場所や作家によって、その表現は様々、では見比べてみましょう。

まずは、フランスのノアン・ヴィック村、サン・マルティン教会の「キリストの捕縛」。
棟方志功を想起させる、力強いタッチで描かれています。
キリストや聖人は大きく、異教徒や罪びとは小さく(多くの場合横顔で)描かれているのがノアン・ヴィックのフレスコ画の特徴です。

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2011年4月14日 (木)

カミーノ×カミーノ(スペイン・日本)

サンティアゴ・デ・コンポステラまでラスト100キロを歩く

スペインのガイドはその町でずっと活躍している方が多く、同じような都市に何度も行くと、自然顔なじみの人ができてきます。
北スペインのレオンにもそんな人がいます。彼女の名前はカミーノさん、カミーノは道という意味。「私は道子です!」という自己紹介も板についているベテランガイドさんです。

さてさて、スペイン人女性の名前といえばイザベラさんやマリアさん、カルメンさんなどが多いですが、北スペインでは他にピラールさん(直訳すると柱子さん?ですが、サラゴサのピラールの聖母から来ている名前です)なんて名前の方も見かけます。
熊野古道:熊野那智大社~那智大滝
先のカミーノさんは道、という意味の名前ですが、北スペインで道といえばカミーノ・デ・サンティアゴ=サンティアゴ・デ・コンポステラへの巡礼路があり、子供の名前に選ばれるほど深く人々の生活に結びついているのだなと実感します。

このカミーノの代表選手、カミーノ・デ・サンティアゴですが、世に姉妹都市や姉妹杉なんてのがあるように、姉妹関係を結んだ道があります。

その道は、サンティアゴ巡礼路と同じ時期に発展し、同じようにその道の端に海があり(1つは東洋に通じ1つは西洋に通じている!)、古くから今に至るまで信仰によって均された道です。
そう、それは皆様ご存知のカミーノ・デ・クマーノ=和歌山県の熊野古道です。

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2011年4月12日 (火)

大きな聖人~聖クリストフォロス

来世利益が原理のキリスト教世界においても、人は、目前の願い…病治しや商売繁盛、子孫繁栄、恋愛成就etc…の現世利益を願わず生きるのは難しい。。
そんな時、頼りになるのが諸聖人です。
守護聖人は名前や職業によってその人を守り、殉教に付随する伝説が生んだ病治しなどの奇跡譚、また奇跡の泉のように怪我や病気を癒すものもあります。
フランス、ラヴァルダンのサン・ジュネ教会の聖クリストフォロス
守護聖人は、その人の洗礼名の元になった聖人があげられます。
例えば、故前法王ヨハネ・パウロ2世は、聖ヨハネと聖パウロという2人の守護聖人がついています。
もうひとつは職業によるもの。
イエスの養父聖ヨセフは大工でしたので大工さんの守護聖人、福音書記者ルカは医者と画家の守護聖人、聖アンデレは漁師の守護聖人です。
生きたまま皮をはがれた聖バルトロメオが製革職人の守護聖人であったり、ちょっとシュールなんじゃないかと感じてしまう例もあります。

さて、旅行者や旅行業者、ガイドや運転手の守護聖人といえば、聖クリストフォロスという人になります。
スペインのドライバーは聖母やキリストのイコンを置いている人が多い印象ですが、ギリシャのドライバーなどは必ずといっていいほど聖クリストフォロのイコンでした。

彼の伝説は様々な伝説が混ざりながら出来上がってきたようで大きく別けると3つの流れに別けられます。

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2011年4月 7日 (木)

天使を見たろば(ソーリュー、オータン)

ロマネスク美術を鑑賞する際に、聖書(黄金伝説や、各種「偽典」含め)の知識は不可欠ですが、彫刻や絵画のテーマにしてはちょっとマイナーなお話?をピックアップしてご紹介していきたいと思います。
ロバに乗るバラム(フランス、オータン、サンラザロ教会の柱頭彫刻)

第一回は、「バラム」のお話。旧約の民数記に登場する人です。
バラムは神の言葉を聞く人として、彼が祝福すれば街が栄え戦に勝利し、彼が呪えば戦に敗れ街が滅びる。。と人々に考えられるほど、力をもつ人とされていました。
あるとき、当時スラエルと敵対していたモアブ人の王バラクが、憎きイスラエルを呪ってもらおうとバラムを呼び出します。

はじめは、イスラエルを祝福する神の声を前に、召集を固辞していたバラムですが、呪いの対価としての褒美が増えた時、欲のため、神の言葉を曲げて王の要求を見たそうと考えました。
ロバに乗るバラム(フランス、ソーリュー、サンタンドージュ教会の柱頭彫刻) 使者とともに家を出てモアブを目指したバラム。
ところがいつも乗っているロバが急におかしな動きをするのです。
急に怯えたように立ち止まり、道を逸れ、石壁と自分の体との間に主の足を挟みずりずりこすった挙句、ついにはへたりこんでしまいました。
怒ったバラムはロバを何度も鞭打ちます。
そこでロバは突然人の言葉を喋り始めるのです。
「僕は悪いことをしていないのにどうして鞭で叩くのですか」と
びっくりしたバラム。
でも怒りは収まりません。

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2011年4月 5日 (火)

思い出の味:マミア/カイエ・ド・ブルビ/クァハーダ(バスク)

羊の凝乳、バスクのマミア

ロマネスクの、またサンティアゴ巡礼路の旅は、スペインやフランスが中心となりますが、両国の西の方、大西洋ビスケー湾に面した国境地帯に生活する、バスクの料理から、今日はひとつご紹介したいと思います。

バスクにおいてはマミア(Mamia)、フランスではブルビ/カイエ・ド・ブルビ(CAILLE DE BREBIS)と、スペインではクァハーダ(Cuajada)と呼ばれるデザートです。

カイエ、またはクァハーダは日本語に訳すと「凝乳」というちょっと聞きなれないものです。
凝乳は、牛乳や羊乳に凝乳酵素(乳のみ仔の胃から採れるそうです)を加えて固めたものです。ブルビは羊ですので、カイエ・ド・ブルビといえば羊の凝乳という意味ですね。

さてこの凝乳、食べた感じは固めのヨーグルトかパンナコッタか杏仁豆腐、で、味はあんまりしません。すっぱくないプレーン・ヨーグルト、甘くないパンナコッタ、アーモンドの香りがしない杏仁豆腐を想像していただくとだいぶ近いでしょう。
ただ、羊乳を使用したものは羊独特の匂いがほのかにします。

これ、もちろん、そのまま食べてもいいのですが、はちみつやクルミ、粗目砂糖など好みでかけてちょっと甘くしていただくと食べやすいです。
スペインもフランスも、デザートというと結構甘いお菓子が多いので、自分で甘さを調整できるマミアはほっとします。

マミアの多くは素焼きの壷に入っています。買ってそのまま日本に持ち帰るのはちょっと心配ですが、市場で買って食べて、壷だけお土産にしてもいいかもしれません。
ちなみに、マミアはビアリッツやバイヨンヌあたりで見かけました。
スペインでは、バスクではないのですがブルゴスのデリカッセンで素焼きの壷入りクァハーダを見かけたことがあります。
スーパーで探す場合は壷はちょっと難しいですけれど、スペインではダノンのクァハーダや、家庭用の粉末凝乳酵素なんかも売っていて、けっこう生活に浸透しているようです。

が、やはり、羊肉・羊や山羊の乳製品はどうしても日本の方には好き嫌いが出てしまうので…ツアー中のメニューより、自由食や市場散策の際にご案内することが多いです。

ともあれ、せっかく外国に来たからには日本では食べられない珍しいものを食べたい!という方にはお勧めです。
バスクに行く機会がありましたら、是非マミアやクァハーダに挑戦してみて下さい。
(山岸)

>フランス地方別の旅はこちら、北スペインの旅はこちら

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2011年4月 1日 (金)

【共通テーマデー】私のパワースポット

サンティアゴ・デ・コンポステラ大聖堂 「パワースポット」という言葉から、連想する場所はたくさんあります。
中でも、凛とした神々しさや、血が沸くような高揚感を与えてくれた場所というと、私はオーストラリアのブルーマウンテンズやスペインのクエンカの大聖堂、日本ならば奈良の室生寺を思い浮かべます。
そして、もうひとつ、宗教や信仰とは別の次元で、行く度に言葉にできないパワーをもらっている場所は、やはり北スペインのサンティアゴ・デ・コンポステラだと思います。

私はキリスト教徒ではないので、聖遺物や伝説そのものが働きかけているのではないと思うのです。
では何が特別なのかというと、おそらく、1000年以上、ヨーロッパそして世界のいろんな国の人々を惹きつけて止まないサンティアゴ・デ・コンポステラという特別な場所が放つ空気、1000年ここを訪れてきた数多の巡礼者たちの祈りや足跡が、心を打つのでしょう。

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