« 思い出の味:マミア/カイエ・ド・ブルビ/クァハーダ(バスク) | トップページ | 大きな聖人~聖クリストフォロス »

2011年4月 7日 (木)

天使を見たろば(ソーリュー、オータン)

ロマネスク美術を鑑賞する際に、聖書(黄金伝説や、各種「偽典」含め)の知識は不可欠ですが、彫刻や絵画のテーマにしてはちょっとマイナーなお話?をピックアップしてご紹介していきたいと思います。
ロバに乗るバラム(フランス、オータン、サンラザロ教会の柱頭彫刻)

第一回は、「バラム」のお話。旧約の民数記に登場する人です。
バラムは神の言葉を聞く人として、彼が祝福すれば街が栄え戦に勝利し、彼が呪えば戦に敗れ街が滅びる。。と人々に考えられるほど、力をもつ人とされていました。
あるとき、当時スラエルと敵対していたモアブ人の王バラクが、憎きイスラエルを呪ってもらおうとバラムを呼び出します。

はじめは、イスラエルを祝福する神の声を前に、召集を固辞していたバラムですが、呪いの対価としての褒美が増えた時、欲のため、神の言葉を曲げて王の要求を見たそうと考えました。
ロバに乗るバラム(フランス、ソーリュー、サンタンドージュ教会の柱頭彫刻) 使者とともに家を出てモアブを目指したバラム。
ところがいつも乗っているロバが急におかしな動きをするのです。
急に怯えたように立ち止まり、道を逸れ、石壁と自分の体との間に主の足を挟みずりずりこすった挙句、ついにはへたりこんでしまいました。
怒ったバラムはロバを何度も鞭打ちます。
そこでロバは突然人の言葉を喋り始めるのです。
「僕は悪いことをしていないのにどうして鞭で叩くのですか」と
びっくりしたバラム。
でも怒りは収まりません。

「いまいましい。剣を持っていたらお前を殺してやったのに」
「ご主人、僕は今まで長いことお仕えしてきたけど、こんなことが一度でもありましたか?」

ロバに乗るバラムを待ち受ける天使(フランス、ソーリュー、サンタンドージュ教会の柱頭彫刻)

確かにそうだ、とバラムがいぶかしむと、ようやく彼の目も開け、
ロバが見ていたものが見えるようになりました。
ロバが立ち止まった道には、剣を手にした天使が立ちふさがっていたのです。
「お前のロバが立ち止まらなければ、お前を殺していたよ」と天使。

天使は、正しい神の言葉をモアブ人の前でも伝えるようにとバラムに念押しをし、彼に道を譲ります。
バラムは王の前でいけにえを捧げ、神の言葉どおりイスラエルを再三祝福します。
バラムの力を心底信じていた王は、彼が言う事を聞かないことと敵を祝福することに恐れを抱いたといいます。

フランス、ガヴァルニー圏谷で出会った働くロバ

従順で忍耐強いロバは聖書に何度も登場します。
現在でも、特にピレネー等山間部では重要な輸送手段であるロバ。
フランスのソーリューやオータンでこのロバ君を見かけましたらどうぞその表情にもご注目を。
(山岸)

>フランスへの旅はこちら

|

« 思い出の味:マミア/カイエ・ド・ブルビ/クァハーダ(バスク) | トップページ | 大きな聖人~聖クリストフォロス »

国:フランス」カテゴリの記事

ロマネスク芸術」カテゴリの記事

著:山岸」カテゴリの記事

旧約聖書」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



« 思い出の味:マミア/カイエ・ド・ブルビ/クァハーダ(バスク) | トップページ | 大きな聖人~聖クリストフォロス »