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2011年4月12日 (火)

大きな聖人~聖クリストフォロス

来世利益が原理のキリスト教世界においても、人は、目前の願い…病治しや商売繁盛、子孫繁栄、恋愛成就etc…の現世利益を願わず生きるのは難しい。。
そんな時、頼りになるのが諸聖人です。
守護聖人は名前や職業によってその人を守り、殉教に付随する伝説が生んだ病治しなどの奇跡譚、また奇跡の泉のように怪我や病気を癒すものもあります。
フランス、ラヴァルダンのサン・ジュネ教会の聖クリストフォロス
守護聖人は、その人の洗礼名の元になった聖人があげられます。
例えば、故前法王ヨハネ・パウロ2世は、聖ヨハネと聖パウロという2人の守護聖人がついています。
もうひとつは職業によるもの。
イエスの養父聖ヨセフは大工でしたので大工さんの守護聖人、福音書記者ルカは医者と画家の守護聖人、聖アンデレは漁師の守護聖人です。
生きたまま皮をはがれた聖バルトロメオが製革職人の守護聖人であったり、ちょっとシュールなんじゃないかと感じてしまう例もあります。

さて、旅行者や旅行業者、ガイドや運転手の守護聖人といえば、聖クリストフォロスという人になります。
スペインのドライバーは聖母やキリストのイコンを置いている人が多い印象ですが、ギリシャのドライバーなどは必ずといっていいほど聖クリストフォロのイコンでした。

彼の伝説は様々な伝説が混ざりながら出来上がってきたようで大きく別けると3つの流れに別けられます。

1つ目は、彼はローマ時代の人で、キリスト教に改宗し、より深く信仰を実践する方法を隠者に問うたところ、急流で人を渡す仕事を提案されました。
大柄な彼は早速無償で人々を負って川を渡す仕事を始めました。(大井川の徒渡しのイメージですね)
ある日、少年を担ったときのことです。小さな子供のはずなのにずいぶん重たく倒れそうになります。
なんとか川を渡りきり、少年にそのわけを尋ねたところ、その子供は世界中の罪と悲しみを背負ったイエス・キリストなのだという…
以来彼は、キリストを負う者=クリストファロスと名乗るようになりました。

別の伝説では、彼がキリスト教に改宗した頭犬人であったり、この世で最も力を持つものに遣えるため、王を恐れた男、悪魔を恐れた王、十字架を恐れる悪魔、イエス・キリスト…と主を替えていくお話もあります。

セビリアの大聖堂にあるクリストファー・コロンブスの墓

クリストファロスは殉教者のシンボル棕櫚の葉と、肩に背負った少年姿のキリスト(地球を抱えています。古いものは横抱きに子供を抱えています)で見分けられます。
巡礼者が多い教会などには、旅人がお祈りできるよう、各所に聖クリストフォロスの絵が描かれています。

ちなみに、クリストフォロスにちなんだ名前の人は世のクリストファーさんクリスさんとたくさんいますが、有名どころでは、大航海時代の立役者クリストファー・コロンブスがいます。
彼の「お墓」のモニュメントはスペインのセビーリャの大聖堂にありますが、棺の側には大きな聖クリストフォロスの絵が。
(上の写真では、画面左に足だけ写っています…)
豪奢な石棺を見る際には、ちょっと顔をあげて聖人の絵にもどうぞご注目下さい。

(山岸)
>スペインの旅はこちら、フランスの旅はこちら

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