【共通テーマデー】私の好きな山~ピレネーの山々~
好きな山、と聞かれて特定の「山」を挙げるのは難しいですね。
山脈や山塊が多く、丘陵地帯も多いですし、何より日本と異なり一つ一つの峰に名前がないピレネー山脈。
あえて言えば、ピレネー全部とそれに連なる低山となってしまうのでしょうが、特に好きなのはピレネーの中心、アンドラ公国からガヴァルニー圏谷のあたりです。
夏はハイキング、秋のハンティング、冬のスキーと山リゾートとして開発されてきたピレネーですが、他方フランススペインの国境線が山頂に引かれるまでは、カタルーニャやアキテーヌなどの国々がせめぎあい、文化的にも多様で実に興味深い土地です。
そんなピレネーからさらに好きなものをいくつかご紹介いたしましょう。
1)ガヴァルニー圏谷
圏谷(カール)というのは、かつて氷河の根元に当たる氷塊があった場所です。
山であったところに氷河があって、その重みですり鉢状に山がえぐれ、古代劇場のような形の谷を形成しています。
ここからかつて氷河が侵食して造った深い谷が大西洋ビスケー湾に向けて進んでいます。今でも。スペインとフランスの国境である山頂から流れ出た雪解け水が、ヨーロッパ最高の落差422メートルの滝となって谷底に注ぎ、そこから川となって流れ出しています。
この谷底の広くなったところに村があり、村に泊まって過ごす時間が大好きです。
(ガヴァルニー村の紹介記事はこちら)
日帰り観光客がいなくなり、ひんやりとする夕暮れに、ごうごうという川の音
馬や牛のいななきが聞こえる以外は、静かで静かな夜がやってくるのです。
(上の写真はハイキングはじめの様子、左は夕暮れの村の様子です)
2)アランの谷とボイの谷
ピレネー山脈最高峰アネト峰の東に広がる、スペインのアイギストルテス国立公園の北に広がるアランの谷と、南に広がるボイの谷。
フランコ独裁時代から工事を進めてきたトンネルの開通により、2つの谷は車で1時間半ほどで結ばれています。
ボイの谷には中世の石造りのロマネスク様式の教会がのこっており、6つあわせて、世界遺産に登録されています。
(写真はその6つの教会の1つ、タウール村のサン・クレメンテ教会)ピレネーの石灰岩とスレート葺きの屋根の教会、町は灰色で、スペインの他の町とはまた違った印象を与えてくれます。
他方、アランの谷はハイキングにスキーに、年間を通して楽しめる山のリゾート地ですが、初夏のハイキングでは様々な野花が迎えてくれます。
アランの谷を訪れるでは、山腹のヴィエリャのパラドールや、貴族の屋敷を改築したアルティエスのパラドールに宿泊します。ヴィエリャのパラドールの朝食会場でいつも私たちの心を躍らせるのが丸まるのハモン。
ナイフでそいでいただくととろんと脂が乗っていて美味しい!
山の幸の喜び、です。
3)アンドラ公国
世界の小さな国々のひとつ、アンドラ公国はフランスとスペインの真ん中にあり、かつては免税のショッピング天国として両国のみならず観光客もたくさんやってきた国です。
今はEUにも加盟しましたが、切手はオリジナル。いいお土産になります。
ちなみに街中のポストは2種類あり、1つはフランス経由(写真左)、もう1つはスペイン経由(写真右)で各地へ届けられます。
また、アンドラも通貨がユーロになっていますが、ユーロは各国ごとに裏面のデザインが異なります。
アンドラなどの小さな国のものは流通量が少なく、公国内でも手に入れるのは難しいのですが、お釣りなどでコインのやり取りをするたびに、裏面をチェックしてしまいます。
番外)ピレネー犬
犬もネコも、産地の名前を冠した種類がいますが、ピレネーにもいます。
バスク人とともにピレネーで活躍する牧羊犬、グレート・ピレニーズは大きな体で頼もしく、毛がもふもふでかわいい!
牧草地を駆け回っているんじゃないかと車窓の景色の中にいつも探してしまいます。
(山岸)
>北スペイン&アンドラ公国への旅はこちら、ガヴァルニー圏谷に関してはこちら
【共通テーマデー「私の好きな山」】
〔添乗見聞録編〕
〔倶楽部ユーラシア編〕
〔ぶらり秘境探検隊編〕
〔ろまねすく通信編〕
〔船の旅便り編〕
〔パゴタの国からミンガラバー編〕
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