私の好きな町:ル・ピュイ・アン・ブレ(フランス)
フランス中部オーヴェルニュ地方を走っていくと、ぽこぽことお椀のような小山をみかけます。
遠い遠い昔に活動を停止した火山の噴火口で、平地にぽこっと立った小山には展望台があったり、中世の山城があったりとドライブの最中も飽きさせません。
そんな小山をクレルモンフェランから南東へ辿っていった終点に、視界が開け、更に小さな小山が3つぽこりと浮かんでいる町にたどり着きます。
ル・ピュイ・アン・ブレ。
サンティアゴ・デ・コンポステラへの巡礼路起点の町のひとつでもあります。
特徴的なのが、死火山の溶岩峰の上に聳え立つ、1つの礼拝堂と2つの像です。
礼拝堂は、サン・ミシェル・デギュイユ。
高さ82mの溶岩峰の上に大天使ミカエルを祀る聖堂があります。
ロマネスク様式の礼拝堂まではおよそ250段の階段を登っていきます。
息が切れますが、てっぺんからの眺望は、登ってきた甲斐があったなぁと思わせてくれます。
像は真っ赤な聖母子像と真っ白な聖父子像です。
赤い聖母子像はクリミヤ戦争のセヴァストポリの戦勝記念に戦利品の大砲を溶かして作られたもの。その後、聖父子像も聖母像に対応して作られました。
この大きな像を見上げていると、日本の巨大な観音像を思い出し、親近感が沸いてきます。
町の中心にはノートルダム大聖堂があります。
ケルト時代から巨石崇拝の場所であり、今でも黒い聖母とともに奇跡の巨石が置かれ、その影響が感じられます。
サンティアゴ・デ・コンポステラへ向かう巡礼たちも、この大聖堂でひとしきり祈りを捧げてから出発していきます。
大聖堂に続く正面大階段が参道になっていますが、その両脇にはレストランや町の名産であるレースを紡いだり売ったりするお店が並んでいます。
店先でせっせとレースを編むところを実演する人がいたりしますので、その様子を覗かせてもらうのも楽しい体験です。
(山岸)
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