旅のお供に:帚木蓬生『薔薇窓』
旅のお供の本、今回はパリに行きたくなる一冊です。
帚木蓬生『薔薇窓』
帚木氏の作品は、以前にも紹介しましたが、本作の舞台はパリ。
時は1900年、万博開催に沸くパリの街中で外国人女性の連続失踪事件が起こる…
主人公は警視庁特別医務室に勤める精神科医。
彼もまたストーカー被害に遭いながらも、仕事の立場上事件の真相追求にも関わっていくようになり…
と、あらすじを抜粋しますとミステリーの匂いがむんむんですが、何よりもお話の舞台、1900年のパリの描写が本当に素敵なんです。
街や食べ物、人々の表情までイメージでき、パリに何日も滞在し、ガイドブックではなくこの本を片手に街を歩きたくなるほどです。
また、主人公ラセーグの叔母が暮らすル・ピュイの町も、鄙びた信仰の町の美しさがとてもやさしく描かれています。
大聖堂の大階段を降りたメインストリートに軒を連ねるレース売りのおばあちゃん達に、こんなお話が日本にあるよ!と教えてあげたくなりました。
タイトルの薔薇窓の美しさは、各地の教会で見てきたステンドグラスの窓の美しさをイメージ。レオンやシエナの薔薇窓、ノアン・ヴィックの分厚いステンドグラス等など…
思い出と想像を混ぜ合わせながら読むのにお勧めです。
(山岸)
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