新しい世界遺産:モンテ・サンタンジェロのサン・ミケーレ聖堂(イタリア)
前回に引き続き、今年新しく世界遺産登録された、ランゴバルトの権威より、南イタリアはプーリア州にあるモンテ・サンタンジェロを紹介します。
イタリアをブーツに例えて、踝の上にちょっとでっぱてるガルガの半島。ジョッキーブーツの拍車と言ったら、よくわからない…と言われたこともありますが…、そのがルガの半島の真ん中の山の中腹にあるのがモンテ・サンタンジェロです。
「聖天使の山」に祀られている天使は、数ある天使達の中でもランゴバルトの戦士たちに極めて人気が高かった、大天使ミカエルです。
最後の審判の折、剣をつがえて竜を打ち倒す、というところから騎士の姿で描かれることが多いため、戦士の守護聖人として、ランゴバルトの人々に崇拝されてきました。
先日紹介したベネヴェント公国の一部であったモンテ・サンタンジェロの洞窟のなかに、大天使ミカエルを祀る礼拝堂があります。
ミカエル出現の伝説が、ランゴバルト族の国々からの巡礼を呼び、現在に至るまで一大巡礼地として栄えました。
時代時代に礼拝堂や教会堂が増改築されているため、現在外観から当時の様子をうかがい知るのは難しくなっています。
立派なポーチを持つ教会のような入口をくぐると、すぐに地下へ下る階段が始まり、その途中に昔の扉口があり(人の手足の跡がついている!)、さらに下って右へ目を向けると12世紀の礼拝堂が見えてきます。
そこは最古の部分ではありませんが、国内外からの巡礼団が集まっていて、今でも厳かな雰囲気を醸しています。
また、ここは、ちょうどヨーロッパ中から聖ペテロ殉教の地ローマを経て、海路エルサレムへ巡礼へ向かう人たちが、ブリンテジやバーリの港を目指す道すがら立ち寄る位置にもなっていました。
後に、アルプス越えの街道沿いにサクラ・ディ・サンミケーレが、そして大陸の果てにはモンサンミッシェルが出来、聖天使ミカエル信仰の聖地がヨーロッパを抱くように整備されていくのですが、これはまた別の話…
しかし、同じ聖天使を祀る3つの聖所を地図で記すと、一直線になるのは驚きです。地図を拡大
モンテ・サンタンジェロはこのミカエル礼拝堂の門前町として栄え、ロザリオやイコンを扱うお店が軒を連ねています。
カフェや飲食店もあり、お土産にはオスティアが有名です。
カトリックのミサで、聖体拝領で使用するモナカのようなパン「オスティア」でナッツやキャラメルを挟んだお菓子です。
オスティアが軽やかで、ナッツとの歯ごたえの違いが楽しいのですが、壊れやすいので持ち帰りには注意が必要です。
街自体は小さく、坂がちで道は非常に入り組んでいますが、街の一番高いところに同じくランゴバルト時代から増築を繰り返されてきた城があり、これとサン・ミケーレ・アルカンジェロ教会に併設されている13世紀の鐘楼が目印になるので安心です。
(山岸)
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