世界あっちこっち教会めぐり~マルタ共和国編~
先日マルタ島に行ってきました。
マルタ島は北アフリカとイタリアのシチリア島の間の地中海に浮かぶ小島です。
マルタ共和国という独立国になっており、マルタ本島、ゴゾ島、コミノ島という3島から成り立っています。
シチリア島からはわずか95㎞の距離にあり、空気が澄んでいる時にはマルタ島の展望台からエトナ山が見えるほど近い距離にあります。また、北アフリカのリビアからは350㎞、チュニジアからは290㎞の距離にあります。
淡路島の半分ほどの大きさがあり、人口は40万人。猫の数は何と70万匹とも言われています。治安が良く、温暖な地中海リゾートとして、そしてエジプトよりも古い巨石神殿などの観光名所も多く、最近マルタを訪れる日本人が増えているようです。
このマルタの首都である、ヴァレッタにあるのが豪華絢爛な聖ヨハネ大聖堂です。
外観は至ってシンプルですが、マルタ特産である蜂蜜色の石灰岩を使い、まるで要塞のようなどっしりとした重厚感が特徴です。まるで騎士道精神の質実剛健を体現しているかのようです。
堂内に入ると天井や壁面は目も眩むような、金ピカの装飾で埋め尽くされています。当時の聖ヨハネ騎士団が所有していた豊富な資金がうかがえます。
聖ヨハネ騎士団とはフランスを中心にイタリアやスペイン、イギリスやドイツなど8つの国と地域から成り立つ、現代の多国籍軍のようなものでした。
左右には各国の礼拝堂が並んでいます。イタリアやフランス、スペインなど当時勢力の強かった国や地域が洗礼者ヨハネの主祭壇の近くに配置されました。
ちなみに主祭壇の左側最前列はイタリア騎士団の礼拝堂になっており、かつてはこの礼拝堂内にカラバッジョの傑作、「洗礼者ヨハネの斬首」、「聖ヒエロニムス」が配置されていました。(現在は隣接した付属の美術館で見ることができます) 床面はの騎士であり修道士でもあった団員達の美しい石棺が隙間無く敷き詰められています。これも高価な色大理石をわざわざ遠方から取り寄せて、石棺の蓋を象嵌細工もしくはカラフルなジグソーパズルのように色大理石をはめ込んでいったものです。
どの石棺にも骸骨が掘り込まれ、常に死と隣あわせであった騎士たちの姿が思い浮かびます。
トルコ本土から何百キロも離れた小島、ヴァレッタに築かれた大城塞。
当時オスマントルコが聖ヨハネ騎士団にとって、どれほどの脅威であったかが思い浮かびます。常に戦闘体制下で気の休まることの無かったであろう、騎士たちにとってはこの静かな空間が唯一の心安らぐ場所であったのかも知れません。(上田)
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