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2012年3月 1日 (木)

【共通テーマデー】旅行中に出会った花~ギリシャ・イタリアの百合の花~

ギリシャ、古代サントリーニの壺

月が替わりまして3月になりました。
ブログの体裁をマイナーチェンジしました。よろしくお願いします。

今月の共通テーマは「旅で出会った花」
アルプス・ピレネーより南のヨーロッパ、特に地中海沿岸部では2月には野花が咲き始め、3月の今頃は梅や桃などの花樹が楽しみな季節。
さらに、ミモザ、ハナズオウ、ジャカランタ、藤や紫陽花、薔薇などなど…いろんな季節の花が入れ替わり立ち代り景色を彩ります。

今日はそんな花の中から、百合の花を紹介いたしましょう。

ギリシャ、クレタ島のクノッソス宮殿

百合で印象深いのはギリシャのクノッソス宮殿。
エーゲ海に浮かぶクレタ島は、野生のクロッカスやシクラメンといった野花の宝庫ではありますが、生の百合のお話ではありません。
迷宮とミノタウロス伝説が残るクノッソス宮殿の南門に画かれた「百合の王子」

絵をぱっと見て、何が百合なのか全然分からなかったのですが
彼の頭や足元にたくさん描かれているゼンマイのようなものが、百合なのだとか。
写真は遺跡に復元されたものなので、絵のイメージをつかんでいただくのにちょうど良いのではないでしょうか。
ただこの百合は、今私たちが花屋で呼んでいる百合かどうかは不明。
アヤメやエニシダなど他の花を図式化したという説も。

ちなみに、先にあげた写真は、やはりギリシャ古代のサントリーニ島から出土した壺。
(フィラの考古学博物館蔵)
ツバメと一緒に描かれているのはチューリップ?ポピー?
ともあれ4000年前の人々の美的感覚に賞賛!


レオナルド・ダ・ビンチ『受胎告知』(イタリア、フィレンツェ、ウフィッツィ美術館蔵)

時代が下り、キリスト教が普及していくと、
純白で凛とした百合は、カトリック世界を中心に、
聖母マリアの処女性や聖性を現すシンボルとなりました。
こういったシンボルは、暗黙の了解として、絵画に書き添えられるようになります。(出ないと誰が誰だかわからないので)
典型的なのは、受胎告知のシーン。
マリアの前に現れて、神の子を身ごもった事をお告げする大天使ガブリエル。

レオナルド・ダ・ビンチ作の『受胎告知』に画かれた大天使の手にもしっかり百合の花。
これはもう、どっからどう見ても私たちが知っている百合!
お見逃しなく!
ちなみに、現在教会で冠婚葬祭etcがあるときの飾りには日本の鬼百合が好まれるという話を聞きました。
大きくて立派な白百合だからだそうです。

さて、聖母のシンボルとして定着した百合ですが、
ルネサンス期のシエナにおいて、この暗黙の了解が破られた時期がありました。
それは、シエナの政敵フィレンツェの紋章が百合をモチーフとしていたため
絵画に百合を描く事を嫌ったためです。
百合がないガブリエルは、代わりにオリーブをもってマリア様にご挨拶。
ちょっと物足りない手元になっています。

イタリア、フィレンツェ

イタリアでは、このフィレンツェの紋章が有名ですが、歴史ではやはりフランスの百合の紋章フルール・ド・リスが有名ですね。
フランス、特にブルボン家と血や政治的な繋がりを持つ王侯貴族やカナダやアメリカにできたフランスにゆかりを持つ市町など、現在でも百合の紋章をもつ行政はあちこちにあります。

似ているだけの模様あり、意外な歴史の繋がり有り…
教会に置かれた生花、美術館にかけられた絵画、政庁舎に掛かった旗の紋章…ヨーロッパで見かける百合にはいろいろな物語があって
あの素敵な香りと共に、大好きな花のひとつです。
(山岸)

>イタリア・ギリシャの旅はこちら

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