復活祭と神の子羊と羊(イタリア、スペイン)
ハッピーイースター!
毎年春分と満月の関係で移動する復活祭の日
今年のカトリック暦では、昨日4月8日がイースターでした。
イースター近くになると、ヨーロッパの町々では卵やウサギをモチーフにしたかわいいお菓子や飾り付けがショーウィンドーを賑やかし、
休暇を故郷で過ごそうとする人々の大移動が起こり
イースター明けの月曜日には、お祝いの羊を丸焼きにする煙が香ばしく立ち上ります。
この時期だけの情景にはいつも心躍ります。
写真はイタリア、シチリア島の伝統的なマジパンでできた羊君。(眉毛がたくましい)
そう意外に思われるかもしれませんが、イースターといえば羊!なのです。
もちろん、かわいいウサギや卵、ひよこも多く見かけますが、伝統的には、イースターの主役を担う動物といえば羊なのです。
羊は、従順で牧人のいうことを聞き、(うっかり悪い声にもだまされもする)
古くから神への捧げものの代表選手。
聖書によれば楽園を追われた人類が神様に喜ばれたベストプレゼントといえる存在です。
神への生贄として
そして、人類の罪を一身に引き受け犠牲となった、イエスキリストの象徴として、十字の旗を掲げた“神の子羊”の姿で表現されることもしばしばです。
受難の追想をし、キリストの血の贖いを思うイースターに羊が登場するのはこのためです。
(写真はスペイン、レオンのサン・イシドロ教会。神の子羊とイサクの犠牲。イサクの犠牲はキリストの犠牲の予形といわれます)
また、羊は人間そのものともされます。
か弱く迷いやすい羊たちは、よき羊飼いによって導かれる
この場合の羊飼いはキリストを指します。
(写真は真ん中に立っている人はラヴェンナの守護聖人サンタポリナーレです。名前入り!)
ところで、ヨーロッパの教会で見かける羊の絵と、ご近所の動物園や動物図鑑で見かける羊を見比べてみたことはありますか?
その違いは、ずばり尻尾です。
日本や、人口よりも羊が多いといわれるニュージーランド、イギリスなどでは
衛生上の問題から、通常飼育されている羊の尻尾は幼い頃に切除してしまいます。
ところがメリノの原産国スペインなどでは、特に小さい牧場などでは
地面まで伸びた尻尾を引きずった羊を結構見かけます。
どこの牧場でも、バスを止めてさあ、羊の写真を撮ろう!と思うといっせいにお尻を向けて逃げ出すひつじたち。
尻尾の有無を見たいときにはベストアングルです。
一度気がつくと気になってしょうがない羊の尻尾。
上のお菓子や教会に描かれている羊たちの尻尾に自然と視線が向かいませんか?
私はついついいつでも尻尾チェックをしてしまいます。
画や彫刻の中の尻尾で、「尻尾切る文化圏」をいつか調べてみたいものです。
(山岸)
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