ペンテコステー聖霊降臨
ヨーロッパの旅で厄介な移動宗教祭日といえば、
カーニバル、イースター!というのが一般的で、大きなお祭りや商店の休暇などもあるので、厄介ながら結構ちゃんとチェックをするものです。
他方、祝日ではあってもお店の営業や観光地の開閉館に影響が少ない(もちろん教会は注意が必要です。ミサがあるので)他の移動祝祭日はおざなりになりがち。
そんな休日の中で比較的記憶されているのが、「主の昇天の日」と「聖霊降臨の日」でしょう。
イースターの日曜日から数えて、
40日後の木曜日が、磔刑→復活を遂げたイエス・キリストが天に昇っていった日。
その10日後が聖霊降臨の日で、ペンテコステとも言われる日で、カトリックの暦では、2012年は5月27日がその日にあたります。
聖霊降臨とは文字通り、聖霊が降りてくる、ということなのですが
天のキリストから地上の弟子たちへ、キリスト教布教の使命が下ります。
このとき空から霊力というか聖霊が降りてきて使徒たちに宿ります。
炎のような「舌」が降りてきて、使徒たちはそれぞれ異国の言葉を話すようになり、異教徒の住む世界の果てまで布教の旅へ出て困らなかったとか。
教会の装飾では、旧約聖書の創世記やノアの箱舟、キリストやマリアの生涯や聖人伝が好んで描かれますが、キリストの生涯のシーンは、磔刑や復活の場面で終わっていることが多く、昇天や聖霊降臨は比較的少ないように感じられます。
今回はいろんな中世絵画より聖霊降臨の図を集めてみました。
時代や地域もばらばらになりましたので、その表現もいろいろで面白いです。
1枚目:ギリシャのオシオス・ルカス修道院より。
ビザンチン様式のモザイク版の聖霊降臨。
炎のような舌、が日本の人魂みたいです。
2枚目:スペインのサント・ドミンゴ・デ・シロス修道院回廊より
下膨れの顔の使徒、天使たちがかわいい。
天の手から波紋のように霊的なものが降りてきています。
ちなみにここは使徒に混ざって聖母マリアも(上段真ん中)も受信してます。
3枚目:イタリア、パドヴァのスクロヴェーニ礼拝堂、ジョットの作品
赤い放射線が激しい感じで降り注いでいます。
後光の射し方が「斬新」です。
使徒たちのファッションセンスにもご注目!
4枚目:フランス、ウェズレーのサンマドレーヌ。
レザービームのような光線がキリストの手から射出されています。
写真はありませんが、同じフランスでは、モントワール・シュル・ル・ロワールのサン・ジル礼拝堂のフレスコ画も結構こんな感じの構図でした。
描かれているところは少ないのですが、
わかりやすいモチーフですし、探してみてください。
この、炎の舌の話をするたびに、英語の「mother tongue(母語)」という言葉が頭をよぎります。
人間の言語って舌で覚えるものなのでしょうか。
(山岸)
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