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2012年8月 1日 (水)

【共通テーマデー】私の好きな水のある風景(南イタリア)~飛び込むのはもちろん・・・水の中!? 

長靴の形をしたイタリアの「すね」のあたり、ナポリから南100キロに位置するパエストゥム遺跡。周辺には水牛農場が多く、イタリアでも有数のモッツァレラチーズの生産地として知られています。
ここで18世紀の半ばにブルボン王朝の道路開設工事の際、古代ギリシャ植民地時代の遺跡が発見されました。
Temple_of_hera_paestum かつてイタリア本土に数多く建設された古代ギリシャ植民都市の遺跡としては、ギリシャ本土に勝るとも劣らない、素晴らしい保存状態の神殿が緑の芝生に聳え立ち、かつて神殿を飾っていた躍動感溢れる神々の見事な浮き彫り彫刻などをつぶさに見ることができます。

このパエストゥムでの見どころの一つに、ネクロポリ(墓域)から発見された石棺の一部があります。
これは「飛び込む男」と呼ばれており、石棺の蓋の内側にフレスコ画が描かれています。
単純に見ると、右側の白い石を積み重ねたような飛込み台から、左下から盛り上っているように見える水の中へ男が飛び込んでいるように見えます。Tomb_of_the_diver_paestum

もしかしたら、石棺に埋葬されている人物は男性で、生前の職業はスポーツの飛び込み選手、もしくはパエストゥムは海の近くなので、ダイバーだったのかも知れません。
(古代に飛び込み選手、ダイバーという職業があったかどうかはわかりませんが・・・。)
これは現在でも一部の国で見られる生前の姿や職業などを墓石に掘り込む習慣と同じです。

一方で異なる見方をすれば、白い飛び込み台が現世と死後の世界の境目で、「右側の現世から左側の死後の世界への旅立ち」と見たり、更には「右側が冥界(木の枝が力なく萎れている)から、現世(左下から盛り上っているのが生命の世界)へ大復活する」という見方もあります。

どちらにしても、死者の世界と現世を表す、宗教的なメッセージが込められているのかも知れません。
文字による記録が一切残っていないので、推測するしかありません。
僕はどう見ても水の中に飛び込むようにしか見えませんが・・・。

飛び込んでいく先は、どうやら「水」だけではないようです。
今も我々を悩ませ続ける、謎の古代石棺。
余計なものが一切描かれていない、シンプルな作風。
絵をじっと見つめていると、霊的な静けさも伝わってきます。
彼らの発想の豊かさからは、古代の大らかな雰囲気も感じます。

イタリアに移り住んだ、古代ギリシャ人は一体何を伝えたかったのだろう・・・。
(上田)

【共通テーマデー「私の好きな水のある風景」】
〔倶楽部ユーラシア編〕~ミャンマー~
〔添乗見聞録編〕~キプロス島~
〔パゴタの国からミンガラバー編〕~ミャンマー~

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