ドイツでロマネスク?!(1)フライジングの野獣の柱
ずいぶん久しぶりの更新となってしまいましたが、またぼちぼちこっそりとこのブログを通じて色々なロマネスク芸術の魅力やヨーロッパの田舎町のお話しなどしていきたいと思います。
しばらくは、ドイツのロマネスクを中心に。と、言うと、ドイツを訪れ、町の中心に聳え立つ大聖堂をご覧になったことがある方は、あの国のどこにロマネスクが??と驚かれることでしょう。
確かに、フランスやスペインの田舎にひっそりとのこる、ほっこりとさせる小さな教会は少ないのですが、都市の大聖堂のクリプタや、巨大なその建築の土台にどっしり構えるロマネスクがあり、また違った魅力でドイツのロマネスクは私たちを楽しませてくれるのです。

とはいえ、いきなり巨大教会の構造のお話しをするよりは、もう少しなじみやすいものからご案内しましょう。
というわけで、今日はミュンヘンの近くにあるフライジングの聖母マリア&聖コルビアン大聖堂のクリプタの「野獣の柱」を紹介します。
柱そのもののにごちゃごちゃといろんな生き物が彫られているものは、フランスのスイーイヤックやイギリスのキルペックのものがありますが、ドイツにもあり、それがこの「野獣の柱」です。
1200年頃のものと言われていて、高さは約2メートル半。クリプタの天井を支える柱にはぐるりと彫刻が施されています。
柱のほとんどの部分はワニか蛇のようなドラゴンと戦う戦士たち。
しかし既に敗北して、地面から顔を出すドラゴンに丸呑みされている人もいます。(はみ出しているのは脚?尻尾に見えてしまいます)
善と悪の戦いを象徴していると言われ、柱の西側に彫られています。
写真では横顔ですが(右上)、柱の東側上部にはお腹の大きな女性が彫られています。
黙示録の、救世主を身ごもった女性という解釈もあります。
また、柱頭部分の鷲は、地上の戦いとは一線を画した位置にいる救世主キリストの象徴と考えられています。
(山岸)
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