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2016年10月25日 (火)

ドイツでロマネスク?!(2)ハルバーシュタットのタペストリー

来年2017年は、ルターが「95ヶ条の論題」を発表してから500年の記念の年。ドイツ東部に点在するルター縁の地には多くのプロテスタントの方が訪れるとみられています。
500年前、ルターがヴィッテンベルク大学に論題を貼り付けると、このあたりは瞬く間に従来の信仰と新しい信仰のあり方に揺れました。動揺は争いになり、時には権威ある大教会が襲われ、破壊され、オットー朝以降皇帝や大司教たちが蓄えた至宝の多くも失われました。

そんなヴィッテンベルクから西へ100キロほど離れた所に、今日ご紹介するハルバーシュタットはあります。こんな場所にありながら、ハルバーシュタットには1170年頃(諸説あるが概ね12世紀半~後半)に織られた中世のタペストリーが今も何点も残っているのです。

Halberstadt
なかでも素晴らしいのが、現存する長さが9m強の「キリストと12使徒」のタペストリーと、同じく長さ10.4mの「アブラハムの生涯」です。力強い輪郭、動きや構図はもちろん、この鮮やかな色!
いずれも細長い形で残っているのですが、本来は上下にもっと別の場面があったことを想像させます。

タペストリーが織られた時代、このあたりはオットー朝の中心地であり、世界中の宝物が集まったところです。しかし、ルターの論題に始まる宗教戦争や、2度の大戦、社会主義支配等の困難な時代の中で、どうしてこのような素晴らしい状態を保つことができたのでしょうか?
宗教戦争の際、町の人はカトリックとプロテスタントそれぞれに信仰が別れ、今もそれぞれの信仰を守っています。しかし、町の至宝は守らねばと、困難な時代にも、ともに協力し合ってずっと守ってきたのだと言います。

Halberstadt

ドイツに現存する同時代のタペストリーといえば、ケルンの聖ゲレオンの名で有名なタペストリーくらい(しかも19世紀に切り刻まれてヨーロッパに点在している…)ですから、その貴重さと、住民の努力に涙が出そうな出会いでした。
(感動のあまりの手ブレです)

(山岸)

※館内は撮影禁止です。ハルバーシュタットの紹介のため許可を得て撮影・掲載しております

ロマネスクツアーはこちら(2017年初夏~のツアーは12月中旬ごろ発表予定です)

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