ドイツでロマネスク?!(3)ヒルデスハイムの青銅扉
「食べるなと、命じておいた木から、あなたは取って食べたのか」と厳しい口調で責める創造主。
「こいつが食べろと言ったのです」「私ではありません、悪いのはこいつです」「自分で食べたんじゃない!」
そんな声まで聞こえてきそうな動き、表情。
1015年のものと言われる、ヒルデスハイムの聖母マリア大聖堂の青銅扉のワンシーンです。
扉は聖堂の西側、ナルテクスと身廊の間にあり、16のシーンでできています。
北側半分は上から下へ、南側半分は下から上へと旧約・新約の物語が描かれています。
アダムの肋骨からエヴァをつくりだし、幸福な楽園の生活に陰りが見えていき、人間は神に背き、生きる苦しみと死を背負い、兄弟殺しが一番地面に近い部分に描かれます。
しかし、南側の半分では新約の物語が始まり、神が人の体を得てこの世にやってきて、受難を経て人々の罪を救済する場面へと続いてゆきます。
降下と上昇がとても効果的に描かれています。
印象的なシーンはいくつかありますが、今日は失楽園を。
浮彫とはいえかなり上半身が飛び出しているので見る方向によって表情もぐっと違って見えます。
責任を転嫁しあう夫婦の様子、悪魔の化身蛇(悪魔はその後のシーンにも登場。いつもこんなコモドドラゴンみたいなスタイル)
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