国:スイス

2012年3月15日 (木)

思い出の味~コーヒーブレイク(スペイン、イタリア)

スペイン、巡礼路の宿での朝食風景コーヒーひとつ!
と言って小さなカップにどろっとこゆい黒い液体が入っていて驚いた~
なんて経験はだいぶ聞かなくなりましたが、
日本のイタリアンレストランでも「エスプレッソ」や「マキアート」を注文すると、小さいカップで出ることを念押しされたりしますので、
まだまだ普及していないのかなとも思います。

今日はスペインやイタリアでのコーヒーの話。
エチオピアやイエメンで取れるモカ等のコーヒーは、イスラム教徒の間では気付け薬などとして飲まれていたもの。
地理的にも歴史的にも彼らと接点が多いスペイン等ヨーロッパの街でコーヒーと注文すると、十中八九出てくるのはエスプレッソです。

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2012年1月18日 (水)

悪魔にょろにょろ(スイス、イタリア)

スイス、ツィリス/サン・マルティン教会の悪魔祓い ロマネスクの旅で見かけて「お!」と思うモチーフは色々ありますが、最近個人的に注目していますのが“悪魔祓い”のシーンです。

病気や欝のような精神病、不道徳をもたらすと考えられていた悪魔。
この悪魔を患者から追い出すのが、聖人たちの力の証明のひとつともいえました。
映画「エクソシスト」みたいにグロテスクな感じがしないので、
ロマネスクの表現は見ていてほっとします。

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2011年7月28日 (木)

夏は教会で納涼…(イタリア、スイス、スペイン)

日本の夏の怪談や肝試しといえば、お寺や神社が多いですが、現役の教会というのはあまり聞かないですね。
中世の怪物の彫刻で溢れた回廊を、夜一人で歩くところを想像すると結構怖いですが、どちらかというと教会は神々しさの方が漂う場所なのかもと、一人で納得しています。

しかし人の像や絵が多く薄暗い教会は、時にぎょっとすることもあります。

例えば写真は、イタリア、ミラノ近郊にあるローディーの大聖堂扉口。
頬杖をついている右端のイブを撮影したのですが、あとで拡大して思わずギャーッとなりました。

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2011年4月21日 (木)

聖週間より:捕縛…その時彼は(フランス、イタリア、スイス)

スイス、ツィリスのサンマルティン教会

前回ご案内した、キリストの視線を受ける人物…それは後光つきなのに人に刃物を突きつけているこの人です。

そう、捕縛される瞬間に、キリストがユダでも自分を捕らえようとする人々でもなく気にかけていたのは、十二使徒筆頭の聖ペテロです。
キリストを捕らえに多くの人々(大祭司率いる一師団とも群集とも)が詰めかけ、騒然とする中、ペテロは兵士の一人につかみかかりその方耳を切り落としてしまいます。
それを見たキリスト、「剣によって戦うものは、剣によって滅びる・・・」と言ってペテロの行為をたしなめます。

ツィリスのサン・マルティン教会の天井画で、キリストの捕縛のひとつ前のパネルが上の写真です。天井画の各パネルは幾重もの枠線で囲われているのですが、この2点はとてもよく似た線が使われています。
キリストの指差す先には人を傷つけるばかりの剣があるのです。

フランス、ノアン・ヴィックのサンマルティン教会

続いて、フランス、ノアン・ヴィックのサン・マルティン教会の方です。

刃物を振り上げる聖ペテロ。
左手は既に兵士の耳をわしづかみにしています。
兵士を見下ろすペテロの目にためらいはないように見えます。

一方一際小さく書かれた兵士は、無表情にペテロを見上げています。
手に力もなく、もうすっかり観念してしまったのか?という顔です。

人物の重要度によって人の大きさを描き別けているので、なんだか子供が叱られているようにも見えてしまいます。

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2011年4月20日 (水)

聖週間より:キリストの捕縛(イタリア、スイス)

昨日に引き続き、聖週間のストーリーからキリストの捕縛のシーンです。
イタリア、サンタンジェロ・インフォルミス教会
まずは、南イタリア、ナポリ近郊のサンタンジェロ・インフォルミス教会の内陣フレスコ画です。
11世紀後半の作品で、ビザンツの修道士の画法が用いられているといわれていますが、背景の青や人物の躍動感溢れる動きにご注目を。
登場人物の肌の色も、赤・黒・青といった顔色も混じり、東方やアフリカとの交易・交流があった南イタリアならではの発想に感じられます。
このユダはキリストの左手側からやってきています。

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2011年1月19日 (水)

ヨルダン川洗礼(フランス、イギリス、スイス)

Lavardin2

モンブランの回で、あちこちの「洗礼」の場面を描いた柱頭や絵を集めたので、せっかくですからまとめてご紹介したいと思います。

まずは、フランスのラヴァルダンにあります、サン・ジュネ教会のフレスコ画です。
水の部分が色褪せてしまっていることもあり、
川というよりも高機能シャワーのようです。
(あるいは洗礼者ヨハネの手にある壷から大量の水があふれ出ている図の様でもあります。)

脇の天使はもう着替えを広げて待っていますが、
タイミングが早すぎてびしょぬれになりそうです。

続きましては、スイスのツィリスから。
おなじみ?サンマルティン教会の天井画からの一枚です。
キリストの生涯をモチーフにしてあるので、この手の話題では大体絵があるのは結構なことです。
Zillis9

さて、こちらがその一枚なのですが、今度は水位の低い川にキリスト一人が立たされているような構図になっています。

一つ一つの場面が太い飾り罫で囲われているのですが、この場面では白い植物の連続の中をぶち抜きで聖霊をあらわす鳩が降りてきています。

ここにも着替えかタオルを持った天使がスタンバイしています。
駆け寄るようにやってきています。

ん~…それにしてもイエスさん寒そう。

最後にもう一枚、今度はイギリスからです。

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2011年1月17日 (月)

他人の空似2(スイス、フランス、スペイン)

モンブラン

他人の空似第二弾です。(前回はこちら
今回の空似は、これ。

そうです。栗のクリームが美味しいあれです。
モンブランをケーキ屋のショーケースや喫茶店のメニューの写真で見かける度に、私が思い浮かべてしまうのは、そう、キリストの洗礼の場面です。

キリストは、彼の先駆者で親戚でもあった、洗礼者ヨハネによって、ヨルダン川において洗礼を受けました。
洗礼の場面に登場するのは、流れる河、水の中のイエス、水を注ぐ聖ヨハネ、着替えオ用意してきた天使など…いずれも柱頭彫刻など、限られた構図で、ひとつの場面に表現するのは難しい素材たちです。

中でも難しいのが川の部分ではないでしょうか?
誰かに、「河とその中にいる人を書け」と言われたら、私達ならどう描くでしょうか?
ロマネスクの教会を回っていて見かける、洗礼の場面の描き方は、皆試行錯誤、色々な方法を試しています。
そのうちの1つが、向こうから手前へ流れてくる様子です。(このタイプをモンブランと私は勝手に呼んでいます)

スイス、ミュシュタイヤの聖ヨハネ/ヴェネディクト会修道院にて

さて、では、まずは左の写真をご覧下さい。
スイスのミュシュタイア、聖ヨハネ・ベネディクト教会にある洗礼の彫刻です。

中央、一見、スカートのようにキリストの腰にまとわりついているのがヨルダン川の水。
盛り上がった形など、モンブランに似ていると思いませんか??
ちなみに向かって左側が洗礼者ヨハネ。キリストの頭上には雲を割って天から降りてくる聖霊(鳩)がしっかり描かれています。

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2011年1月 6日 (木)

三賢者訪問(スイス、フランス、イタリア)

今年も1月6日がやってきました。
カトリックの教会めぐりが多いので、公現節=三賢者の訪問=1月6日!と考えがちです。
国や宗派によって祝い方が異なるのが面白いのですが、ロマネスク美術でも、この三賢者の訪問の描き方がいろいろあって面白いです。
フランス、ショーヴィニー、サン・ピエール教会の三賢者訪問
昨年三賢者の訪問としてご紹介しましたのは、大変有名なオータンのものでしたが、
あちこちの教会で、三賢者訪問の場面を描いた彫刻や絵を、目にすることが出来ます。

1枚目は西フランス、ショーヴィニーにありますサン・ピエール教会の彫刻。
色は19世紀に、製作当時の色を再現すべく塗られたもので、一見すると派手派手ですが、大理石模様の柱の上に、堂々と乗っかっている柱頭です。
玉座のような聖母に威厳あるポーズのイエス。
両サイドに跪く賢者達が特徴的です。

フランス、ノアンヴィック、サン・マルティン教会の三賢者訪問

2枚目も同じくフランスから。
ノアン・ヴィックのサンマルティン教会のフレスコ画です。
(少し見えづらいのでコントラストを強くしています)

3人が馬で駆けつける場面と、聖母子に謁見する羊飼い達が連続で描かれている事もあり、とても躍動感に溢れています。
疾駆する馬の足やたなびくマントにご注目。
聖母子の穏やかでぬくもりに溢れる描き方も素敵です。

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2010年12月10日 (金)

楽しい食卓・その1「ヘロデ王の宴」(フランス、スイス)

美味しい食卓(レオンノパラドール食事一例)

ブログ、ろまねすく通信を立ち上げて早1年以上…先日ご一緒したお客様に、山岸さんはグルメネタが多いね。と言われたので、久しぶりにロマの話をしたいと思います。
寝具や聖書の話、人魚などのモチーフを紹介しましたが、今回は「食卓」に焦点を当ててみました。
しかし、ここはロマネスク芸術。
楽しい食卓と題してみましたが、けっこうダークな絵面が並びますが、ご容赦下さい。
いろいろ集めたところ、全4回になりそうです。
どうぞ楽しくお付き合い下さい。

さて、第一回はイエス・キリストと同時代に生きたヘロデ王の食卓をのぞいて見ましょう。
聖書にはたくさんのヘロデ王が出てきます。
そのうち2人が特に有名で、キリストが生まれたときに2歳以下の男子を皆殺しにするよう命令したヘロデ王(俗にヘロデ大王)、そして、戯曲サロメにも登場する今回のヘロデ王(ヘロデ・アンティパス)です。
ヘロデ・アンティパスはヘロデ大王亡き後、兄2人(2人ともヘロデさん)と父の領地を別けてキリストがいた辺りを治めていたといわれています。
そんな、ヘロデ王の宴、楽しげな響きです。

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2010年6月25日 (金)

石を泳ぐ人魚(スイス)

ツィリス、サンマルティン教会

さて、スイスの人魚ですが、ここはツィリスのサンマルティン教会から大勢紹介いたしましょう。

サン・マルティン教会の天井には153のパネルがはめ込まれ、キリストの生涯及び聖マルタンの奇跡、そして水生生物たちが描かれています。
その中からトップバッターを飾るのは楽器を演奏する美人人魚3人組です。
左からバイオリンのような弦楽器、竪琴、ホルンを演奏しています。
あちこち枝分かれした二股の尻尾は、時に枠線をはみ出して描かれています。

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