世界の街角一丁目 第5回 チャルテン~フィッツ・ロイに恋をして(パタゴニア)
「パタゴニア」とは南アメリカ大陸の南緯40度付近を流れるコロラド川以南の地域の総称で、アルゼンチンとチリの2カ国に跨る地域を指しています。一年を通して風が非常に強く、どこまでも広がる空がとても印象的。そして驚くほどに青く、美しい氷河があることで有名です。
その驚くほどに青く、美しい氷河があるのは、モレノ氷河、もしくはウプサラ氷河で知られ る、世界遺産「ロスグラシアレス国立公園」。南極、グリーンランドに次ぎ、世界で3番目に大きな氷河群を持つ公園です。そして、本日私がご紹介したい街は、この国立公園の北側に位置する「チャルテン」です。
チャルテンはとても小さな町で(町と言いますか、むしろ村です)、普段の人口は200人にも満たない程度。しかし、観光シーズンになると500人にも600人にもその数は膨れ上がります。この普段は寒村にすぎないチャルテンになぜそんなに人が集まってくるのか?それは、氷河で削り取られたできた2つの山、フィッツ・ロイ山とセロ・トーレ山があるからです。特に、世界の登山家の間でも人気があり、クライマーの聖地とも言えるのがフィッツ・ロイ。フィッツ・ロイはパタゴニア地方の最高峰(標高が3405m)。激しい気流が峻険な頂きに衝突して空気塊の凝結が起こり、あたかも山頂が煙りを吐いているように見えることから先住民に 「煙を吐く山」 と呼ばれていました。そして、その名の通り常に雲を被り、なかなかその全景を眺めることができない山です。また、冒頭に触れた人気アウトドアブランドの「パタゴニア」のロゴに使われているのが、実はこのフィッツ・ロイなんですよ。
チャルテンは、本当に小さな村です。全てが徒歩圏内。そして、期間限定の町とも言えるこの町には、シーズンに入るといろいろな国から人が集まってきます。またそのシーズンになると毎年チャルテンにやってきて、山のガイドをしたり、ホテルのお手伝いをしたりする人が多くいます。「おぉ、久しぶり!」で始まる、再会と再開。人が増え、店が開き始め、またパタゴニアに夏がやってきたなと、感じる瞬間でしょう。ポッと訪れた観光客にとっても、その嬉しさが伝わってきます。また、このような町なので、誰もが友達というか、家庭的な愛で迎え入れられ、温かさを感じる地でもあるはずです。
小さな村ながらも、年々お洒落なカフェやレストランが増えつつあります。天気がよく、幸 運であれば、フッツロイを臨みながらの一杯。もしくは、コーヒーや紅茶でティータイム。とても心安らぐ時間、場所であること間違いありません。とは言っても、私のお勧めは、フィッツ・ロイの山麓に広がるナンキョクブナの森の中をたっぷり散策したあとのビール。これがこの上なく極上なひと時です。フィッツ・ロイを眺めながらのおにぎり、っていうのもいいですね♪ちなみに、フィッツ・ロイの雄姿を初めて目にしたときの私の感想は「かっこいい!!」でした。山に対してこんな感動を覚えた私に、自分自身も多少ビックリしましたが、その姿は本当に堂々としていて力強く、しばしうっとりしてしまいました。(尾形)
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