グッバイ・デスバレー
みなさん、こんにちは。あわてんぼのサンタクロースとんかつ定食、三橋"てやんでい、並と大盛どっち?"愛子です。
12月に入り、早くも街は色とりどりのイルミネーションに飾られすっかりクリスマスモードになってきました。空気も一段と冷え込み、私にとっては、毎朝なかなか布団から抜け出せないというツライ季節到来です…。
極端に暑かったり、寒い時期になると決まって「暑いのと、寒いのとどっちが我慢できる?」と会話を友達と交わしてしまうのですが、私はどちらかというと、寒いほうが好きです。みなさんはいかがでしょうか。
話が少し脱線してしまいましたが、私が今日、スポットを当てたい場所、それは、ズバリ!アメリカはカリフォルニア州、そしてネバダの2州にまたがる『デスバレー国立公園』です。ギャンブルの街・ラスベガスから車でだいたい2時間ほど走った所にあります。
ギラギラに輝く太陽がお好きな暑い派の方には是非とも訪れていただきたい場所の一つですね。夏の日中の気温は50℃を優に超えてしまう上、なんと夜になっても40℃以上という超熱帯夜の世界です。自動車会社は新車開発の際、必ずこのデスバレーでオーバーヒートのテストを行い、これをクリアした自動車のみ販売できると言われています。
デスバレー国立公園の総面積は13,158平方キロメートル。あまりパッと想像がつきませんが、なんと長野県とほぼ同じ面積です!国立公園までアメリカンサイズなんです!
さて、全米の国立公園の中で、最大の面積を誇るデスバレーですが、こりゃまたびっくり、西半球で一番海抜の低い場所なんです。バッドウォーター(ガイドブックなんかにもよく登場する場所ですね)と呼ばれるポイントでは海抜-86メートル。かつては塩湖だったということから、白い塩の結晶が目の前に広がります。天然物を目にするとついつい手が出てしまう私ですが、海抜-86メートルの場所でできた塩のお味は…というと、赤穂の粗塩も驚き!辛すぎない、コクが後を引くなかなかGOODなお味でした(残念ながら、ここは国が指定した国立公園。お土産に持って帰ることはできないのでご注意を。)。
そして、デスバレーは数々の映画の撮影現場となったことでも有名です。有名なところで は『スターウォーズ エピソード1、2』、『サルの惑星』などがありますが、「あっ!そういえば、こんなシーン見たことある!」というような、まるで地球上とは思えない景色が広がっています。『デスバレー(死の谷)』と名づけられたこの地での撮影は、俳優さん、カメラマン、現場関係者たちにとって、どれほど過酷なものだったのでしょうか。次回、映画を観る際は、こういったポイントにも目を向けてみたいものです。
さて、少々遅くなってしまいましたが、この『デスバレー』=『死の谷』という名前の由来について触れてみたいと思います。ゴールドラッシュブームに沸く1849年のこと。カリフォルニア州にある金鉱地を目指してやってきた白人のグループが、近道をしようとした所、この谷に迷い込んでしまいます。彼らは、牛などを食べ生き延びていたそうですが、数週間さまよった末についにこの過酷な環境と食料が充分に得られなかった事から、メンバーの一人が命を落としてしまいます。そして他のメンバーがやっとのことで、この巨大な谷から脱出した際、『グッバイ デスバレー』と叫んだことから名づけられました。広大な面積を持つデスバレーでは、公園内の中でも高低差、気温差などは様々です。先程、触れた塩湖「バッド・ウォーター」では特別、気にならなかった水分の乾きも、少しバスを走らせるとカラカラの砂丘が見え、濡れた服も一瞬で乾いてしまう程の乾燥地帯になります。その名も「デビルズ コーン フィールド」。直訳すると「悪魔のコーン畑」です。「20分くらいの散策だから大丈夫だろう」と思い、紫外線除けの帽子だけ被り、ペットボトルの水をバスに置いてきてしまったのが、甘かった私でした。外に立っているだけで、体中の水分が奪われていくようで、体力もかなり消耗します。本当に『死の谷』という名前の由来を身を持って実感しました。地面に目を向けると、そこには素早い四速歩行で草陰に逃げていくヒョロヒョロとした尻尾が!デザートイグアナです。余談ですが、小学校の頃、グリーンイグアナを飼っていた友人がいて、彼の家族が家を留守にする際は、無類の動物好きの三橋家に、よくイグアナ(フレディちゃん)を託してくれていました。フレディちゃんはとても穏やかな性格で、瞬きも、歩行もすべてがスローモーションでした。その為か、「イグアナといったらスローモーション」という固定観念がすっかり私の中に定着してしまい、今回のデスバレーで見たあのデザートイグアナの素早い動きはかなりド肝を抜かれました!こんな過酷な土地に生きる野生動物はやはり、たくましいのですね。ちなみにデスバレーには51種の哺乳類、36種の爬虫類、346種の鳥類が生息しているというから驚きです。
そして、もう一つのデスバレーの魅力はなんと言っても、星空です!私が添乗で行かせて頂いた時は、ラスベガス出身のドライバーさんが、「本当に、素晴らしいから是非みなさんを案内したい!」と言って、真っ暗な闇の中を懐中電灯一本で連れて行ってくれました。見上げた星空には感動の声があちこちで聞こえ、手を伸ばせば星が掴めそうなほど大きく明るく輝いていました。そして一番の感動は、誰もがあこがれる天の川。日本では7月7日になると誰もが夜空を見上げてしまうのではないでしょうか。東京の空では天の川は疎か星ですら見ることが難しいですが、デスバレーでは天の川もちゃんと見えます。星の塵が集まって、まるで大空を悠々に流れていく乳白色の川のようです。今まで生きてきた20数年の人生であれほどの星を見たのは生まれて初めてです。
まるで生きている者を拒んでいるかのような昼のデスバレー、そして観る者すべてをロマンチックな気分にさせてしまう夜のデスバレー。たった1泊のデスバレーの旅でしたが、様々な表情を持つ『死の谷』にすっかり魅せられ、名残惜しい気持ちを抱きつつ、こう一言つぶやいて、その地を後にしました。
「グッバイ デスバレー。」
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