おすすめ映画 ~インビクタス~
マンデラが大統領になったばかりの頃、新政府は発足したものの、長きに亘って根付いてきた人種差別はそう簡単にはなくならず、不況や犯罪増加などの問題は依然として山積していました。その問題を解決するきっかけを探していたマンデラが目を付けたのがラグビーワールドカップでした。“スプリングボックス”のチーム内には黒人の選手は一人しかおらず、応援する人ももちろん白人ばかり。チームそのものがまさにアパルトヘイトの象徴でした。長らく国際大会からも遠ざかっていた為、大会間際まで対外試合でいい成績も残せず、新政権の黒人たちの間にはスプリングボックスはもはやチーム名やユニフォームを変更すべきだとの意見も持ち上がります。しかしマンデラはそれでは白人が愛しているものを取り上げることになり、今まで虐げてきた黒人たちから仕返しをされるという恐怖心を助長することになってしまう、と評議委員たちを説得しました。“赦す”ことから全てが始まるのだと。
ワールドカップが始まると、スプリングボックスの快進撃とともに、選手たちとだけではなく
側近など周りの人々との交流の中で、次第に人々の心が変化していきます。大会が始まった頃は、まだスタジアムは白人が大半を占め、アパルトヘイト時代の国旗が振られていましたが、ついに決勝戦で勝利した後は、スタジアム中が新生南アの国旗を振りかざし、これまで白人たちが歌うことのなかった新国家を皆が声高らかに歌ったのです。
『インビクタス』とは、征服されないという意味。マンデラがケープタウン沖のロベン島に収監されていた間、心の支えにしていた詩のタイトルで、全体を通してこの言葉の意味がじわじわと伝わってきます。
弱小チームがどんどん強くなっていくという、いわゆるスポ根ものとしての面白さもありますが、マンデラの人間力のもと、一つの方向に向かって人々が意識を変革させていくところに、人の信念が持つ威力と同時にこの映画の素晴らしさを感じました。正直、久しぶりに感動した映画です。
アパルトヘイトのしがらみに雁字搦めになっていた人々であっても、何か一つの大きな指針と偉大なる先導者がいれば、国すら変えることができる。そんなに遠くない過去の出来事だけに、より一層リアルに感動できたのかもしれません。
見終わって、ちょっと元気が出てきました。(高村)
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