2010年3月30日 (火)

聖女アグネスがお届けする!世界の教会レポート~メキシコ・クエルナバカ編~

みなさん、こんにちは。もうすぐ春ですねえ恋をしてみませんか?、三橋“いくぞぉ-春一番だ-ッ元気ですかぁ-ッ”愛子です。 

先週土曜日、インドの添乗より帰国致しました。3月のインドはなんと毎日が45℃を越える酷暑!「日本に戻ったら、桜が開花してるかなぁ~。ぽかぽか陽気の中でお花見しよう!」と春の日差しに心弾ませ帰国しましたが、出発前よりも寒さが増していて、なんだか、がっかりな今日この頃です・・・。でもこんな寒さなんかに負けちゃいられない!と休日は寒空の下、うっすらピンクに色づいた桜を眺め、お弁当持参で近くの都立公園までピクニック♪をしに行ってきました。やっぱり、寒くたってなんだって、桜は乙心をくすぐります。

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さて前置きが長くなってしまいましたが、久々のアグネスシリーズは、「春よ来い・・・」という気持ちとともに、常春の街、メキシコのクエルナバカをご紹介します。

 メキシコシティから高速に乗り、しばらくバスを走らせると、活火山ポポカテペトル山(5450m)が見えてきます。この山麓に点在する14の修道院は世界遺産にも登録されているのですが、今日はそのうちの一つクエルナバカ大聖堂からリポートです。大聖堂のある街・クエルナバカはナワトル語(かつてアステカ人が話していた言葉)で「森のほとり」を意味する「クァンナワック」から名づけられました。メキシコで最も小さなモレーロス州の州都であり、昔から富裕層の人々が休日をすごすコロニアル都市として発展しました。現在はメキシコ国内で最も自作農を行う人口が多く、1990年代、「シルバープラン」によって日本人の移住が推奨された街でもあります。気候も暮らしも人々ものんびりとしたクエルナバカの街のシンボルがクエルナバカ大聖堂なのです。

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またこのクエルナバカ大聖堂は日本ともゆかりが深いことでも有名です。「死と昇天」を表すドクロマークが掲げられた入口をくぐると、なんだか私たち日本人にとって懐かしい風景が描かれた壁画が飛びこんできます。
 それは、1598年、豊臣秀吉によるキリスト教徒弾圧によって処刑された26人の宣教師の壁画です。壁を掃除していて偶然、塗り固められた石灰壁がはがれ、この絵が姿を現したという奇跡の壁画です。現在は上手に剥がされた部分のみ観ることができますが、剥がしきれなかったデコボコとした石灰壁も残っています。壁画に描かれているのは15世紀の日本。長崎に向け丸太舟で航海する宣教師の様子、長崎にて十字架に張り付けられ、処刑される殉教者の様子などが色鮮やかに残っているのです。また壁画の上部には「EMPERADOR TOYCOHSAMA MANDO MARTIRI(太閤様が処刑を命じた)」とも書かれています。

 では、なぜこのメキシコ・クエルナバカ大聖堂に、我が国・長崎で行われたキリシタン迫

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害の様子が描かれているのでしょうか。その理由は、26人の殉教者の中にメキシコで最初に聖人と呼ばれたフェリペ・デ・ヘススが含まれていたから。ヘススはメキシコのとても裕福な家に生まれ、フィリピンに渡り神学時代を過ごしました。全ての神学の勉強を終え、ようやく生まれ故郷のメキシコに帰って司祭になれると思った矢先、なんとヘススを乗せた船がメキシコに向かう途中、遭難し、日本の土佐・浦戸港に流れ着き、動けなくなってしまったのです。その頃、日本では秀吉が実権を握り、ちょうどキリスト教徒弾圧の最中でした。ヘススを乗せた船は秀吉の使者によって、金目のものはすべて没収され、ヘススや他の神学生たちも捕らえられ京都の牢獄に入れられてしまいました。その後、ヘススは日本の26聖人の中に入り、京都~大阪~長崎を見世物にされながら歩いて旅したそうです。そしてクエルナバカ大聖堂に残る壁画の様に、それぞれ聖人は自分の背丈に合った十字架に張り付けにされ処刑されました。なんと26人の殉教者のうち、一番早く息を引き取ったのはヘススだったそうです。十字架に張り付けられ、息を引き取る前に、全員で賛美歌を口ずさんだそうですが、ヘススの台座だけはなぜか低い位置に設置され足が届かず、苦しんでいるところを刑使に槍で胸を刺され亡くなりました。全く日本と関係のないヘススがどうして処刑され、日本で最初の殉教者にならなくてはいけなかったのか、疑問は残りますが、このクエルナバカ大聖堂は、そんな悲しい運命を辿った彼の為に建てられ、また壁画の修復作業は日本政府の援助によってなされたといいます。

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「天の下には、何事にも定まった時期があり、すべての営みには時がある。」

と、聖書の言葉にあるように、4世紀程前はキリスト教を迫害していた日本も、時が経ち、時代が変わると、宗教の自由を得て、異国の教会の修復を援助するまでになりました。クエルナバカ大聖堂はキリスト教徒でなくても、日本人なら一度は足を運んでみる価値がある場所だと思います。

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