とってもカラフルなグアテマラの織物
みなさん、こんにちは。真夏の夜風は恋の香り、高村“マヤの海岸物語”陽子です。
グアテマラの話というと、ついつい遺跡のことが中心になりがちなのですが、今回は遺跡と並んで大好きな織物のお話をしたいと思います。
グアテマラの民芸品屋さんには、色鮮やかな織物で作られた雑貨が並んでいますが、その店先でウィピルという女性用のブラウスのようなものを見かけます。特に、北西部の高原地域では、実際に女性達が着ている姿や、家の軒先で機織をしている女性の姿を見ることがあります。
このウィピルは、マヤの末裔達が現在に受け継いだもの。作りとしては簡単で、1枚の布
の真ん中に頭を通す穴が開いた、いわゆる貫頭衣です。これに加えてコルテという巻きスカートに腰帯(ファハ)を巻きます。現在では機械生産されるものが増えてきているらしいのですが、本来ウィピルはいざり機という日本にも古くからある織機で織られています。村ごとに異なる柄や模様の布が受け継がれていて、伝統的な幾何学模様をはじめ、大胆な花柄や、鳥や動物をモチーフにしたものなどさまざまです。このウィピル、私たちは見て楽しむだけですが、見る人が見れば着ているものでどこの出身なのかがわかるそうです。マヤの末裔の人たちは顔も日本人に近しいので、民族衣装を着て無邪気に遊んでいる子供たちを見ると、まるで昔の日本にタイムスリップしたような、異国とは思えない感じさえします。
さて、この民族衣装に使われている色は重要な意味をもっていて、マヤの世界観と結びついた赤黒黄白緑(碧)の5色が基本。これらは方位も表していて、赤は太陽が昇る東、反対に日が沈む西は黒、南はトウモロコシの黄、冷たい風が吹いてくる北は白、緑(碧)は天と地をつなぐ軸、世界の中心の色とされています。
かつては綿糸に植物や鉱物から採れる天然染料で染色していました。たとえばウチワサボテンにつく虫コチニールは赤色の染料、アニールは藍色の染料、ログウッドはマメ科の植物からとれる黒色の染料、そして希少な貝紫などなど。ちなみに、コチニールで染められた布は当時の本国スペインにも輸出されていましたが、当初は虫が染料というと気持ち悪がられてしまうので、穀物の粒だといっていたそう。また、ログウッドは江戸末期から明治にかけて日本にも入ってきて「三度黒=たった三度の染だけで黒くなる」といわれる黒染めに使われ、礼装用の衣装などに使われてきました。そんな天然の染料も現在ではすっかり化学染料に圧倒されてしまい、昔ながらの染色はほとんど行われなくなってしまってい
るのですが、アティトラン湖畔のサンファン・ラグーナ村では草木染めがさかんだったり、お隣のエルサルバドルでは日本の技術協力で藍染が復興されたりと、伝統を継承する動きも高まりつつあります。
マヤの末裔インディヘナの人びとのアイデンティティーともいえる民族衣装。その奥にある意味や歴史を知ると、より一層、目に鮮やかに映るかもしれません。
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