ウロウロしよう!ウロス島~前編~
ウロス島はボリビアとの国境に位置するチチカカ湖に浮かぶ葦の島です。標高3820メー
トル、ツアーではたいてい日暮れ前に訪れるためか、いつも曇りがちのイメージがありますが、それに負けないくらい、カラフルなセーターやスカートを着た現地の人々が印象的です。面積8560平方キロメートル(琵琶湖の約12倍)を誇るチチカカ湖は蒸気船が通ることの出来る世界最高地の湖。チチカカ湖の“チチカカ”は“灰色のピューマ”という意味ですが、こんな伝承があるのです。
昔チチカカ湖には水がなく花がきれいに咲き乱れていて、ピューマも生息していた。しかし、そこに住む人間は悪いことばかりしていてそれを天上から見ていた神様が泣き悲しんだ。その涙が地上に落ち湖となった。突然現れた湖によってそこに住んでいたピューマたちは溺れ死にそれが灰色となって浮いてきたことから“灰色のピューマの湖”つまり「チチカカ湖」と名づけられた。
船着場からモーターボートを走らせること約20分。早速、葦(トトラ)で出来た浮島が見えてきます。チチカカ湖には全部で約40の島がありそれらを総称してウロス島と呼びます。島は6畳程の小さなものから教会や学校、裁判所までもが建っている大きなものまで様々です。島民手作りの島はトトラの根の部分を土台にし、その上に更に1メートルの厚さにトトラを敷き完成です。数ヶ月経ち、トトラが水に浸かり腐ってしまうと新しいトトラを刈りに舟を出し、自分達の手で再び修復・・・といっても新しい葦を上に重ねるだけでできてしまいます。島は普段は風で流されていかないよう島と島とを杭やロープ固定しているそうですが、台風などで大波が来るとそのロープを外し風の吹くままに島を流してしまうのだそうです。食生活は漁業が主、チチカカ湖ではニジマスやペへレイ(キスのような魚)、カラチなどといった魚がよく獲れます。また人々は釣った魚と畑でとれたジャガイモやキヌアなどをぶつぶつ交換し、湖の恵みと山の恵みをバランスよく食べているのです。
シンプルだけど1470年代から続く伝統的な生活様。「不便じゃないの?島を出たいと思ったことは?」とつい聞きたくなってしまいましたが、その答えは人々の笑顔をみてすぐにわかりました。無邪気な笑顔で手作りの民芸品を得意そうに売る少女と、そこに住む家族の団結力。電車に乗ったりパソコンを使ったり・・・という日本での生活で忘れかけているものをふと思い出させてくれました。
さて次回は、島で出会った素敵な人々との交流をご紹介させて頂きたいと思います。
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