キリマンジャロの雪
みなさん、こんにちは。コーヒーはカフェオレがお好み?、長崎、“いえいえもっぱらキリマンジャロ”若葉です。「キリマンジャロは標高六〇七六メートル、雪に覆われた山で、アフリカの最高峰と言われている…」有名な冒頭で始まる短編「キリマンジャロの雪」を文豪ヘミングウェイが書き上げたのはアンボセリ国立公園(ケニア)滞在中のこと。キリマンジャロの裾野に広がる動物達の楽園です。当時ヘミングウェイは2番目の妻ポーリーン(彼女のお金持ちの叔父さんが旅行のパトロン)、親友とともにフロリダのキー・ウェストの自宅を離れ、アフリカでの2ヶ月に渡るサファリ旅行をしているところでした。小説の主人公ハリーもまた、資産家の妻とともにサファリ旅行のアフリカで死を迎えんとしている小説家なわけで、彼についヘミングウェイ自身を重ねて読んでしまうのは私だけではないでしょう。とにかく、この小説を読んで以来、そして実際にアンボセリでキリマンジャロの美しい姿を見た後でもずっと、キリマンジャロは私の憧れの山なのです。
しかし近年、そんなキリマンジャロへの私の憧れに水を差すようなニュースもあります。キリマンジャロの雪(氷河)が、温暖化によって減少し、近い将来すべてなくなってしまうというのです。特に元アメリカ副大統領のアル・ゴア氏の著作(そして映画化もされた)『不都合な真実』の中にも登場したことから、この話はさらに有名になりました。ただしこれには反論もあって、氷河の減少は温暖化ではなく、赤道直下の高山という特殊な環境条件による昇華(固体から直接蒸発している)とも言われており、まだ議論に決着はついていません。しかし理由はどうあれ衛星写真等で見る限り、氷河が減少しているのは事実のようで、本当にいつかキリマンジャロの雪がなくなってしまったら、その時にこの小説を読む人はちょっとピンと来ないのかも…なんて私ごときが心配することはないですね。時が経っても心を打てばそれが名作。でもいずれにせよ雪を冠ったキリマンジャロは美しいわけで、その姿をできるだけ長くとどめてほしいから、一応暖房の設定温度を一度下げてみたりする私です。(長崎)
※文中の引用には「ヘミングウェイ短編集2」(高見浩 訳、新潮文庫)を用いました。
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