グリーンゲイブルズにおじゃまします!(第三弾・黒髪美少女ダイアナと木いちご水)
ある日、マリラがグリーンゲイブルズを留守にします。マリラはアンに「ダイアナをお茶会に招いていいよ」と言いました。自分が開くお茶会に誰かを招待するというのは、一人前のレディになった証。手作りの美味しいお菓子や飲み物をお気に入りの食器でもてなす「お茶会」が当時は主流だったようです。アンが小さなレディになってお澄ましして、「ごきげんよう、ダイアナ。どうぞお入りなさって」なんて話しかけてグリーンゲイブルズの扉を開ける姿が想像できます。サクランボの砂糖漬け、フルーツケーキ、クッキーにジンジャーのお菓子などがテーブルに並び、アンがキッチンから更に木いちご水(ラズベリーコーディアル)を持ってきました。グラスになみなみと注ぎ、マリラお手製の木いちご水をグビグビっと一気に飲み干したダイアナ。でも何故だか様子がおかしいようです。
ダイアナ「こんな、美味しい木いちご水は生まれてはじめてだわ!」
アン 「好きなだけ、自分で注いで飲んでちょうだいね。」
ダイアナ「グビグビ・・・はぁ、なんて美味しいのかしら、でも何か変な気分・・・(フラフラ)。き、気持ちが悪い・・・わゎ私、帰らなきゃいけない気がするわ・・・」
アン 「ちょ、ちょっと、ダイアナ?様子が変よ!どうしちゃったのかしら?!ダイアナっ!」
なんと!ダイアナが一気に飲んだものは木いちご水ではなく、スグリの果実酒だったのです。マリラはアンに「木いちご水は戸棚の二段目にある」と教えたのですが、実はそこにあったのは木いちご水ではなくスグリの果実酒でした。その違いに気付かず勧めてしまったアン、哀れ・・・。この事件を知ったダイアナ母はかんかんに怒ってしまいます。アンが可愛い我が娘を悪い道に誘惑していると勘違いし、アンとダイアナが今後仲良くすることを禁止してしまいます。
さて、話は変わりますが、実際にグリーンゲイブルズのキッチンを覗いてみましょう!おやおや、あるではないか!あの「木いちご水(ラズベリーコーディアル)」が。いや、スグリの果実酒かもしれません。どっちにしても、ちゃんと棚の二段目に置かれていて、まるで物語の世界に自分が入り込んでしまったような気分です。一体どんな味がするのかなぁ、ラズベリーコーディアル。とファンならきっと考えてしまうはず。でも、それを戴けるレストランがキャベンディッシュにありました!甘酸っぱくて、爽やかで、キャベンディッシュの長閑な風景にピッタリ!訪れた際は是非、お試し下さいね。ちなみに、現在は「木いちご水」と日本語訳されているラズベリーコーディアルですが、1952年当時の村岡花子さん訳「赤毛のアン」の中では、ただの「いちご水」と訳されています。その理由は、翻訳当時、まだ外国の食文化が日本に入ってきておらず「木いちご」もまた、日本人にとっては見たこともない、聞いたこともない、ましてや味わったこともない「未知の果物」だったからだそう。なるほど!
さてさて、話は戻りましてアンとダイアナのその後・・・お互い顔を合わせていても以前のように堂々とお喋りすることができない二人。そんなとき、仲直りのきっかけとなる出来事が起こります。アボンリー村の大人達が全員留守をしていたときのこと、ダイアナの妹ミニー・メイが原因不明の高熱に襲われます。そんなミニー・メイの命を救ったのがアンでした。アンがグリーンゲイブルズにやってくる前、養子として妹や弟たちのお世話をして培った経験が生かされ、迅速な処置が出来たのです。それまで突っ張っていたダイアナ母もアンの迅速な対応に感謝し、無事にアンとダイアナは仲直りを果たしました。どんなに離れていたって心はいつでも傍にいる、それこそが腹心の友!翌日、ダイアナはアンにこんな詩を送ります。
「わたしがあなたを愛するように、あなたが私を愛するならば、死がふたりを分かつまで、ふたりをひきさくものはないだろう」
次回は、いよいよグリーンゲイブルズの2階へご案内する予定です!アンの演技力にビックリ!の「紫水晶事件」にスポットを当ててみます。(三橋)
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